プログラマーになりたいと思ってても、残業が当たり前で激務だということを聞くと目指すべきか迷ってしまうと思います。
以前はIT業界は残業が多くて、毎日終電とか、徹夜が続いているといった話はよく耳にしました。しかしそれは10年以上前の話です。
過酷な残業やプレッシャーでIT業界からリタイヤしてしまう人も多かったと思います。
では、現在はどうなんでしょうか。やはり残業が多くて過酷な労働を強いられるのでしょうか。
少子高齢化による労働人口の減少、国の施薬によDXの推進、デジタル化の促進などによりITエンジニアは2030年には最大79万人もの人手不足になると政府のレポートでも明記されています。
IT企業の多くは経験者の採用に苦労しており、労働環境を見直したり、生産性の向上をはかったりしています。
そういった背景がある中で現在のプログラマーの残業時間はどのようになっているのでしょう、詳しく解説します。
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プログラマーは残業が多いのが一般的なのか?
厚生労働省の調査によると、プログラマーの残業時間は月に平均20時間程度とされています。
しかし、厚生労働省の調査は、会社が回答するため実態を反映しづらいところがあります。
つまり、現場には、調査結果よりもっと長い時間にわたり酷使され残業に苦しんでいるプログラマーが多くいると予想できます。
実際、1ヶ月の残業時間が100時間を超えた話も耳にすることがあります。これは噂ではなく、実際にプログラマーの業界では決して珍しいケースではありません。
しかし、就職する企業や時期によっても残業時間に違いがあり、プログラマーでも残業がほとんどない働き方をしている人もいます。
プログラマーの残業が増えやすい理由とは
プログラマーの残業が増えやすい理由について、解説します。
仕事内容とスキルのミスマッチ
残業時間が多くなる理由として、仕事内容とスキルがマッチしていないことが挙げられます。
プログラミングのスキルはあっても、仕事で使用するプログラミング言語のスキルがなければ仕事の目的を達成するのに時間がかかります。
わからないことやできないことを有識者に聞くにしても、自分で調べるにしても時間がかかってしまいます。取り組む作業に対してスキルが追いつかないと仕事にかかる時間が多くなり、結果的に残業になることがよくあります。
割り振られる業務量が多すぎる
そもそもの業務量が多いことも、残業時間が多くなる理由の一つです。
業務量が多くなる理由は、3つ考えられます。
- 慢性的な人手不足
- 納期が短い
- 顧客が無理な発注をしている
業務量が多くなることは、自分に原因があるわけではありませんが、1人で解決できるようなことでもありません。
割に合わない仕事をしていると、集中力も低下し、生産性が落ちて、より作業に時間がかかってしまいます。
仕様変更・追加を全て受け入れてスケジュールは変わらない
顧客が、納品間際になってからスケジュールを変えないまま、仕様変更や追加の対応を依頼することがあります。
スケジュールの見直しをしないまま、すべての要望を受け入れていると、必然的に時間が足りなくなり、残業が増えるといったケースです。
予算の追加や、スケジュールの延期があれば問題ないですが、ほとんどの会社は作業者は増えない、納期はそのままでクライアントの要望に応えることになります。
チームメンバーの仕事の穴埋めをしている
チームのメンバーが急遽休みになった場合や、スキル不足なメンバーのフォローなどをしていることにより、残業が増えることもあります。
メンバーのフォローをしていると、自分の仕事に手が回らなくなり、結果的に残業が増えてしまいます。
残業が多い会社の特徴
残業が多い会社の特徴について解説します。
転職の際の会社選びの参考にしてみましょう。
みなし残業代が多い
残業がない会社に勤めたい場合は、みなし残業制をとっている会社に気をつけましょう。
みなし残業とは、残業することを見込んで基本給の中に残業代が組み込まれる制度のことです。
みなし残業に注意する理由は、以下の3つです。
- 見込みよりも残業が超過する会社が多い
- みなし残業分以上に残業しても給料が払われない
- 会社側のメリットにしかならず、労働者にメリットはあまりない
このように、労働者にとってメリットがない制度だからです。
会社としては人件費を管理しやすいというメリットがありますが、労働者がこの制度の恩恵を受けるのは、みなし残業代分よりも実際にした残業が少ない場合のみです。
雇用形態に注意が必要
ブラックな会社は、プログラマーを残業させるために、「裁量労働制」や「みなし残業代制(固定残業代制)」、「フレックスタイム制」という制度をとっていることがよくあります。
裁量労働制
裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と決めた時間を労働時間とみなす制度です。もし、1日の労働時間を8時間と決めていたら、10時間働いた日でも8時間働いたとみなされ、残業代は発生しません。
プログラマーは、裁量労働制の対象外と決められているので、このような制度を導入している企業は疑いが強いでしょう。
みなし残業代制(固定残業代制)
みなし残業代制は、一定の残業時間分の残業代を給与として支払っておく制度です。
みなし残業代分の時間を超えて残業したとしても、超過した残業代が支払われないといったケースもあります。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、始業や就業の時間を社員が自分で決めることができる働き方のことです。
ブラックな企業は、プログラマーに対して、フレックスタイム制が適用されていると説明しながらも、基準をオーバーした労働時間を設定するケースがあります。
アットホームな環境を全面にだしている
社員同士が仲良く見えるイメージがある「アットホームな環境」というワードですが、こちらにも気をつけましょう。
理由は以下の3つです。
- 仲間意識が強く、プライベートにも干渉される
- 休日も社員と交流しなければならない
- 残業時間が長いから一緒に過ごす時間が長い
本当に過ごしやすいような温かい環境であればいいのですが、都合よく「アットホーム」といっている場合もあります。
未経験者など大量に採用している
大量採用している会社を見かけたら、就職や転職がしやすいと考えがちですが、大量の離職者が出ていることが理由の場合もあるので気をつけましょう。
「社員を使い捨てのコマのように扱っている」や「パワハラやセクハラが横行している」、「残業が多く、ついていけない人が多い」という理由で、社員が仕事をしづらいブラック企業である可能性があります。
大量採用している企業は、スキルがなくても応募できるため、異業種からの転職の場合などは魅力的に感じるかもしれませんが、残業なしの会社を選ぶなら避けたほうがいいでしょう。
残業が少ない企業の特徴
長時間のみなし残業がついていない
例えば、「基本給30万円(40時間分の残業代3万円を含む)」といった条件の場合、プログラマーに対して残業代を支払うつもりがない会社と認識していいかもしれません。
上記のような記載がなく、直接確認してもみなし残業の制度は採用していない会社の場合、残業が少ない企業である可能性があります。
生産性を重視している
昔は、長く働いていることが頑張っているとみなされる価値観がありましたが、最近では、長く働いていることを非効率だとする考えが強くなってきています。
時間をかけずに効率的に仕事を進めるのが良しとされている会社であれば、意味のない残業が少なくなるはずです。
自社開発比率が多い
IT業界では、自社開発と受託開発に区分することができます。
自社開発をおこなっている企業の場合は、大手や企業体力がある企業であることが多いです。そのため、仕事の内容が自社開発であると、残業時間や労働環境を考える一つの手がかりになります。
社員が定時退社する文化がある
社員が定時退社している会社は残業時間が短いでしょう。プログラマーは常に勉強が必要な職業です。夜に開催されている交流会や勉強会に積極的に参加している人は、比較的早い時間に退社している可能性が高いでしょう。
プライベートな時間を大切にしている
上司や会社全体で、プライベートな時間を大切にしている場合も、残業が短い1つの目安になるでしょう。
業務上避けられない残業はありますが、今すぐやる必要がない業務に対して、メンバーで分担したり、翌日に回したりといった調整を行なってくれることもあります。
プログラマーの残業なしは可能なのか?
プログラマーは、チームで実施する職業なので、個人の努力だけでは残業をなくすことは不可能です。
残業の発生源を絶たない限りは、残業なしで帰ることはできないでしょう。この場合、会社のシステムを改善する必要があるため、残業なしで帰るには、残業のない企業に就職するしかありません。
自分の能力に関係ない残業が多く、改善されない場合は転職も1つの手段
自分が身につけたいスキルに関係のない仕事ばかりさせられる場合や、慢性的に残業時間が多い場合は転職を検討するのも1つの方法です。
改善を促しても一向に改善されないのであれば、社員と向き合ってくれない会社だと思い、転職活動に注力してもいいでしょう。
まとめ
残業なしでプログラマーをしていくのは、かなり難しいでしょう。
その理由としては、企業側の原因だけではなく、自身のスキル不足による残業や、スケジュールを見誤ったための残業など、自身の問題による残業もあるからです。
しかし、そういった課題については解消する方法が明らかです。業務で使用するプログラミング言語など必要なスキルは習得しておくこと、常に最新の情報をチェックしておくことなどで大半は解消されるはずです。
残業なしを実現するためには自己研鑽を忘れずに、自身の市場価値を向上しなくてはなりません。
スキルを身につけて、キャリアアップを図りましょう。
未経験者の方でこれからプログラマーを目指そうとしている方も過度な心配はいらないはずです。
多くのIT企業は残業を軽減するための努力をしていますし、残業が多い企業に就職・転職したい人はいないということを理解しているからです。
しかし、残業が多いブラック企業も存在しますので、働く環境を見極めることが大切です。