インターネットが日本で普及し始めてからまだ30年程度、驚くほどの進化をしており今では生活に欠かせない技術になっています。
コロナ禍であっても、Facebookでコミュニケーションをとっている人たちと食事をしようと、Googleでレストランを検索して、Amazonで贈り物を用意し完結でき、全てインターネットを通じWeb技術を活用することでその利便性を感じています。
また、それはパソコンだけではなく、iPhoneなどのスマホでも同様のことができるという環境にまでになっています。
日常生活をおくるだけでも、そういったデバイスやツールは欠かすことができず、その結果GAFAといった巨大企業が生まれ、行動に伴う情報や個人情報などあらゆる情報が巨大企業に集約されることになります。
このように一部の企業に情報が集約していしまうことが現在のWeb環境の大きな課題と言えます。
こうした環境を打破するために新たなWebの概念として注目されているのがWeb3.0です。
では、なぜWeb3.0になると現在の課題が解消されていくのか、Web3.0の概念などを詳しく解説していきます。
また、Web3.0を実現するために欠かせない技術としてブロックチェーンがありますが、なぜなのかなど、エンジニアの人に向けて情報をお伝えします。
Contents
Web3.0(Web3)とは?
Web3.0は次世代インターネットと呼ばれています。
これまで、Web1.0とWeb2.0が登場していますが、Web3.0はWeb2.0で発見された課題を解決した分散型のインターネットということです。Web1.0の定義から順番に見ていきましょう。
Web1.0とは
Web1.0とは、静的なHTMLによって作成されたWebページがほとんどを占めており、テキストが主体のサイトばかりで閲覧しかできませんでした。つまり、サイトを公開している情報発信者と閲覧者の双方向のやり取りがほとんどできない時代です。Web1.0が主流だった時期は1990年半ばから2000年前半です。
情報がオンラインで取得できるという意味では非常に画期的でしたが、情報を発信するためにはウェブ開発の技術が必要となりだいぶ敷居の高いものでした。また、その時期はネット回線も速度が遅く、従量課金製のダイアルアップ接続であったため、一般的になるまで時間がかかりました。
Web2.0とは
Web2.0とは、Web1.0とは違い、情報発信者と閲覧者が双方向にコミュニケーションできるようになりました。例えばSNSに投稿した内容に対して、閲覧者がアクションを起こせるというようなことです。
誰もがインターネットを自由に使えるようになりましたが、特にTwitter、Facebook、InstagramなどのSNSが大きく普及しました。簡単に欲しい情報にアクセスすることができ、たくさんの人と気軽に繋がることができる便利さがありました。しかし、サービスの提供者であるGoogleなどの特定の企業へ、閲覧の行動履歴情報が集中してしまっていました。
つまり、情報が一箇所へ集中することによって、セキュリティリスクや個人情報のプライバシーが企業に独占されるなどの問題が指摘されています。このことを、中央集権型のサービスといいます。
また、当初はネット回線を利用するにも日本の回線費用は非常に高額で、大量の情報をやり取りするには費用も多くかかる時代でした。
Web3.0とは
Web3.0とは、Web2.0で指摘されていた中央集権型の問題を解決すると期待されているもので、権力分散型のインターネットのことです。「分散」や「トラストレス」といったキーワードが特徴となるWebのあり方です。
この「分散」というキーワードを満たす技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンとは、仮想通貨であるビットコインの基幹技術として発明された概念のことです。ブロックチェーンの技術を利用すれば、インターネット上で取引されたデータを適切に記録可能になります。
この特徴を持ったブロックチェーンを有効活用することで、Web2.0で抱えていた課題やリスクを減らしていくと考えられています。
また、ネット回線費用も非常にリーズナブルになり、5Gの普及が見込まれることによりモバイル回線でも大きなデータの送受信が可能となり、Web3.0への転換も加速すると考えられています。
Web2.0ではどのような課題が浮き彫りになったのか?
Web2.0は、上述したように、中央集権型のインターネットでした。この仕組みが原因で、二つの課題が浮き彫りとなりました。
それは、「セキュリティリスク」と「プライバシーの侵害」です。
セキュリティリスク
1つ目は、セキュリティリスクです。Web2.0では、Webを利用するユーザーの個人情報がサーバーで集中して管理されていることによって、サイバー攻撃を受けやすい課題を持っていました。Web2.0の登場によって、多くのひとが気軽にインターネットを利用できるようになりましたが、多くのユーザーにセキュリティ問題の影響を及ぼす危険性があったのです。
プライバシーの侵害
2つ目は、プライバシーの侵害です。ユーザーはGAFAをはじめとした大企業に、個人情報やログインID、パスワード、行動履歴などの全ての情報を渡しています。こうした企業によって、世界中の個人情報が独占的に集中する状態になっており、個人のプライバシーが守られていません。
なぜWeb3.0が注目されているのか?
Web3.0が注目されている理由は、Web2.0で大きな課題を解決できるからです。
ブロックチェーン技術によって、Web2.0の課題であった中央集権型という課題が解決し、非中央集権型が成立します。個人情報は、特定の企業ではなく、ブロックチェーンに参加したユーザーによって分散して管理されるようになります。
Web3.0でできるようになること、特徴3つ
非中央集権型になることでもたらされる、できることや特徴には以下の4つあります。
・1.セキュリティレベルの向上
・2.国や企業に制御されなくなる
・3.プライバシーの保護
それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
1.セキュリティレベルの向上
1つ目は、セキュリティレベルが向上することです。
ブロックチェーン技術が使用された分散型ネットワーク上では、取引情報が暗号化されており、それが複数のユーザーで共有されます。
通常では、サービスを利用する際に、ログインIDとパスワードの入力を求められます。しかし、Web3.0では企業によるIDの管理がなくなるため、インターネット上に個人情報そのものが存在しなくなります。
Web2.0では、その情報が特定企業に集中しており、もしサイバー攻撃を受けた場合、大量にある個人情報が流出するというリスクがあったのです。情報が分散されているWeb3.0では、セキュリティが向上し、安心してインターネットを利用できるようになります。
2.国や企業に制御されなくなる
2つ目は、国や企業に制御されなくなることです。例えば、個人間の送金ができるようになることです。
現在では、銀行などの金融企業を仲介して送金や金銭の貸し借りをしています。仲介する業者がいることによって、手数料が掛かっています。これが、Web3.0になると、口座を持っていない人にまで送金できるようになるのです。
国や企業に規制されていない状態で、世界中どこにいる人にでも瞬時に送金できるようになります。
3.プライバシーの保護
3つ目は、プライバシーの保護がされ、個人情報や行動履歴などのデータを自己管理できることです。
今まで、企業がサービスを提供する対価として個人情報を収集していたという形が変わるためです。
例えば、SNSやWebサイトを閲覧時に表示される広告をユーザー自身で自由に表示・非表示を設定できるようになります。
Web3.0のキーとなる技術3つ
Web3.0のキーとなる技術は以下の3つです。
・1.ブロックチェーン
・2.メタバース
・3.NFT
1.ブロックチェーン
1つ目は、ブロックチェーンです。
ブロックチェーンとは、仮想通貨であるビットコインの基幹技術として発明された概念のことです。ブロックチェーンの技術を利用すれば、インターネット上で取引されたデータを適切に記録可能になります。
これは、データの改ざんが非常に困難かつ、取引の記録を消せないといった特徴につながります。
2.メタバース
2つ目は、メタバースです。メタバースとは、仮想空間のことです。
インターネット上の仮想空間に、自分の代わりとなる存在を操れるようになります。
例えば、仮想空間の中で探検や出会うことができたり、実在する店員と仮想空間で相談をしながらショッピングできたりするようなことです。
3.NFT
3つ目は、NFTです。Non Fungible Tokenの略称で、日本語では非代替性トークンと訳すことができます。つまり、替えがきかない、唯一無二のトークンであるということです。
その仕組みは、ブロックチェーン技術にあります。ブロックチェーンの特徴として、複製が改ざんができないということがあります。これまでは、インターネット上にあるデジタルな作品は簡単にコピーできてしまうため、どれが本物でどれが偽物だという判別がつきませんでした。しかし、ブロックチェーンの技術を活用したNFTの登場によって、唯一無二の存在であることを証明でき、資産として扱うことが可能になりました。
Web3.0のリスクや注意点とは
Web3.0の登場によって、Web2.0の問題を解決し、今までの時代を変革する影響がある一方で当然新しいリスクもあります。
個人情報の自己管理を徹底する必要があるからです。例えば、仮想通貨を管理するパスワードを失念すると、通貨の引き出しができなくなります。特定の企業に規制されないといったメリットがある中で、誰にも守られないことによる事故管理が重要となってくるでしょう。
まとめ
Web3.0の時代がくることによって、特定の企業が個人情報を管理する現代の環境も終焉を迎えるといわれています。
これまでのWeb2.0では、誰もがSNSやブログ、Webサイトなどで情報発信することができ、その情報に対し返答できるような双方向でのコミュニケーションが取れるようになりましたが、同時にプライバシー情報が特定の企業に蓄積されるという課題も生まれました。
そのことによって、個人情報の取扱や、個人情報の流出などで多くの問題もでています。
Web3.0の世界ではプライバシー情報は特定の企業に集約することはなくなり、一意の情報として等しく管理されることになり、プライバシーが個人に委ねられるようになるでしょう。
暗号通貨取引、仮想通貨で活用されているブロックチェーンの技術が、Web3.0では主となる技術として活用されることになります。
これまで携わってこなかったというエンジニアも、これを機会にブロックチェーンについて学んでおくことは将来役に立つことは間違いないのではないと思います。
Web3.0 はまだ概念として語られている段階で、明確に定義されているわけではありません。
実現に至るまで多くのハードルが残っていて、まだまだ時間が必要だとも言われています。
しかし、Web3.0の概念自体は世界のインターネット環境を大きく変革する考え方であることは間違いないでしょう。
まだまだ多くの議論がかわされ、概念も変化していくものとおもわれますが、世界を変える力をもったWeb3.0の動向を注視していきましょう。