Webアプリケーション開発の世界では、今やWebフレームワークを使って開発するのが常識となっています。
この記事では2020年にWeb系のIT企業でトレンドになっている、人気おすすめWebフレームワークを紹介します。ただし、今回は日本で採用されることが多いJavaについてのフレームワークは別記事でご紹介するので外してあります。
Webフレームワークとは?
Webアプリケーション開発ではHTTPの仕様に基づいたメッセージの作成、セッション管理、セキュリティ対策など、どのWeb開発でも共通する作業があり、これらの共通機能をパッケージ化したものがWebフレームワーク(正式には「Webアプリケーションフレームワーク」)です。
また、複数のITエンジニアが関わるシステムでは記述するプログラムに対し何らかの制約をかけてシステム全体の品質をある標準化し、保守性を高めるのもWebフレームワークの役割です。
2020年の人気フレームワークの動向
これまでのWebアプリケーション開発では、JavaScript、PHP、Rubyがよく使われていました。
JavaScriptはフロントエンドプログラム言語として唯一の選択肢の言える状況で、2020年も「React」「AngularJS」「Vue.js」などのWebフレームが人気ランキング上位を占めています。また、サーバーサイド開発ができる「Node.js」などの人気もあり、2020年以降もJavaScriptの人気が衰えることはないでしょう。
PHPも古くから根強い人気があり、Webフレームワークの「Laravel」の人気や、CMSで多くのシェアを持つ「WordPress」でも使用されていることから今後も人気が続くことが予想されます。
Rubyについても上の2つの言語に比べると人気が落ち着いてきていますが、生産性の高い「Ruby on rails」は、今でも人気です。
Pythonが人気
昨今では機械学習・データ分析などのAIの分野に注目が集まっています。
AIの分野ではPythonが一強の状態で、AIとWebアプリケーションを組み合わせたサービスなどでは、Pythonが採用されることが予想されています。
おすすめWebフレームワーク
それでは、2020年版のおすすめWebフレームワークの中から、まずはフロントエンドで人気のJSフレームワークからご紹介していきます。
React
Reactは、Facebook社によって公開されたJavaScriptのフレームワークです。
ReactはUI構築のためのライブラリですが、Reduxなどの状態管理フレームワークと組み合わせてWebフレームワークとして利用されています。
Reactの特徴1. レンダリングが高速
Reactでは仮想DOM(Document Of Model)が採用されており、Webページの内容を更新する時にページ全体ではなく一部の要素のみを部分的に更新するとことで高速化されています。
Reactの特徴2. コンポーネント設計で再利用
Reactはページ内の要素を複数のコンポーネントに分けて部品として設計することが推奨されており、これにより再利用性が高いアプリケーションが制作できます。
Reactの特徴3. JSX構文でDOM要素が効率的に書ける
ReactではJSXという独自構文でDOM要素を出力します。JSXは以下のサンプルコードのように、JavaScriptの変数や式を中括弧に囲んで使用できます。
Reactの特徴4. React NativeでiOS/Androidアプリ開発
React NativeはReactでモバイルアプリ開発を可能にしたフレームワークです。
JavaScriptやJSX構文といったReactの知識でモバイルアプリ開発ができるのが特徴です。Facebook, Instagramのモバイルアプリでも採用されており、実績も十分です。
Angular
Angularは、Googleとコミュニティによって開発されたJavaScriptのWebフレームワークです。2020年2月に最新バージョン「Angular 9」がリリースされ、今後も半年ごとにメジャーバージョンアップ行われる予定です。
Angularの特徴1. すべてのプラットフォームで動作
Webはもちろん、iOS/Androidアプリ、Windows/Mac/Linuxなどのデスクトップアプリなど、あらゆるプラットフォーム向けのアプリを作成できます。
Angularの特徴2. 高パフォーマンス
AngularはReactには若干劣るものの、優れたパフォーマンスでレンダリングが行われます。また、サーバーサイドレンダリングを利用して事前にWebサーバー側でHTMLを生成し、パフォーマンスを向上させることもできます。
Angularの特徴3. 大規模アプリケーションに向いている
AngularはGoogleのサービスでも多く採用されており、大規模なシステムになっても遅延ローディングの機能より必要になった時点で必要になったものを読み込むことで、ページのロード時間を短縮しています。
続いて、Webアプリケーションフレームワークで人気のものをご紹介します。
Laravel
Laravel(ララベル)は、注目のPHPフレームワークです。
以下のグラフは2020年6月時点で、PHPの主要フレームワーク4つの人気の動向をGoogleトレンドで調査した結果です。
Laravelの人気がこれまで定番だったPHPフレームワークを逆転しています。
Laravelの特徴1. 学習コストが低い
Laravelを使ったPHPのコードは分かりやすく、習得までにそこまでの時間を要しません。
Laravelの特徴2. データベースアクセスが容易
オブジェクト関係マッピング(ORM)でPHPのオブジェクトを操作するようにデータベースの操作ができます。
Django
Django(ジャンゴ)はPythonのWebフレームワークの中で、最も多くの人に認知されているフレームワークです。
Djangoの特徴1. フルスタックフレームワーク
セッション管理、モデル(データベース)の操作などの基本的な機能に加えて、ユーザー認証、管理者ベージの自動生成、フォーム入力画面の生成など、素早くアプリを開発するための機能が豊富に用意されています。
Djangoの特徴2. 速度は早いとは言えない
Djangoはその機能の豊富さから、他のFlaskやBottleなどの軽量フレームワークに比べて性能が劣ると言われています。
Djangoの特徴3.データ分析やAIとの組み合せに向いている
AIの分野ではPythonが非常に人気があり、PyTorchやTensorFlowなどのAI系ライブラリもプログラム言語にPythonを使用します。
DjangoはこれらのAI系ライブラリとPythonのWebフレームワークであるため、AI分野のシステムと組み合わせ使うことに向いていると言えます。
まとめ
2020年版のおすすめWebフレームワークを紹介してきました。
変化が激しいWebサービスの世界では、Webフレームワークも日々進化しています。2021年は、2020年5月にv1.0がリリースされたJavaScript実行エンジン「Deno」などの登場や5G通信網の普及などのにより、Webフレームワークの人気にも大きな変化が訪れるでしょう。
フレームワークといっても、フロントエンド向きのJSフレームワークやWebアプリケーションを開発する上でよく使われる機能がまとまっているWebアプリケーションフレームワークなどがあります。
流行に乗って最新のフレームワークを学習することはエンジニアにとって必要なことだと思いますが、フレームワークの特性などを理解した上で学習を進めることをオススメいたします。