現在の日本のIT業界は深刻な人手不足で、多くのIT企業は経験者の採用に難儀しています。そのため未経験OKの求人が増え、未経験者にもプログラマーになるチャンスが広がっています。プログラミングスクールや学習サービスも増えており、未経験者にとって門戸が開かれている状態なのです。
未経験からプログラマーへの転職できる確率が上がっていたとしても、プログラマーになるためには情報収集が大切です。
そもそも、プログラマーといってもいろいろな種類があり、それぞれ使用する言語や必要なスキルにも違いがあります。目指すプログラマー像を決めた方がモチベーションも続き、効率的に勉強を進められるでしょう。
ここでは、プログラマーの各種類について紹介し、プログラマーの将来性や未経験からプログラマーを目指す際の注意点についても解説していきます。
Contents
プログラマーの種類とは
プログラマーにはいくつか種類があります。ここでは、「web系」「アプリ系」「ゲーム系」「組み込み系」「汎用系」「オープン系」「通信系」の7つについて解説します。
Web系プログラマー
概要・つくるもの
Web系プログラマーは、Webサイト上で動作するアプリやサービスの開発を行うプログラマーです。つくるものは、ホームページやSNS、ショッピングサイト、求人募集サイトなど、多岐にわたります。Web系プログラマーは、ユーザーが実際に見て操作する画面を作る「フロントエンド」と、データの操作や処理を扱う「バックエンド」に分かれます。
使用する言語
「フロントエンド」のWeb系プログラマーは画面表示や動きを作るため、HTML、CSS、JavaScriptなどを使います。「バックエンド」のWeb系プログラマーは、Java、C+、C++、Perl、PHP、Ruby、Pythonなどを使います。
平均年収
Web系プログラマーの平均年収は約「460万円」です。プログラマーとしては平均的な年収です。
将来性
Webサービスの需要は依然として高く、今後も将来性が明るいことが予想されます。Web系には幅広い知識が求められるため、市場価値を高めるためには複数の言語や分野に精通していることが求められます。
アプリ系プログラマー
概要・つくるもの
アプリ系プログラマーは、スマートフォン、デスクトップ、タブレット向けのアプリをつくります。ハードウェアやOSの特徴も考慮して開発を行うため、幅広い知識が要求されます。
使用する言語
アプリ系プログラマーが使用する言語は、Java、C言語、C#、Ruby、PHP、Swiftなど多岐にわたります。アプリが動く環境によって使用される言語が異なります。
平均年収
アプリプログラマー(アプリエンジニア)の平均年収は約「480万円」と、プログラマーとしては平均的な年収です。
将来性
今後もスマートフォンはじめアプリの需要は高いため、アプリ系プログラマーの将来性も明るいと予想されています。新しいデバイスが出続けることから、知識をアップデートしていく必要があります。
ゲーム系プログラマー
概要・つくるもの
ゲーム系プログラマーは、コンシューマゲーム、スマホゲーム、PCゲーム等のゲームを開発するプログラマーです。グラフィッカーやデザイナーが用意したキャラクターを動かしたり、効果音やエフェクトの発生条件を記述したりと、様々な処理を実装します。
ゲーム系プログラマーには、オブジェクトの動作やグラフィックなど、専門的な知識が要求されます。また、企画の段階で実装可能かどうかを判断するために上流工程から携わる場合もあります。
使用する言語
ゲーム系プログラマーはC++、C#、Unity、Swift、Ruby等を使います。ゲーム制作会社の中では、C++やC#の習得を採用の必須条件としている企業も多数あります。
平均年収
ゲームプログラマーの平均年収は約「480万円」です。プログラマーとしては平均的な年収です。
将来性
コンシューマゲームの需要は下がりつつあるとされていますが、スマホゲームの需要が高まっています。将来性は十分と考えられますが、専門的な技術や独創的なアイデアなどが求められることも予想されます。
組み込み系プログラマー
概要・つくるもの
組み込み系プログラマーは、炊飯器やエアコンといった電化製品や電子機器を制御するプログラムを開発します。デバイスが小さいためリソースが少なく、動きが制限された機器を制御するプログラムをつくるため、コンパクトな設計が必要になります。プログラマーの中では、ハードウェアについての知識がより要求されるプログラマーです。
使用する言語
組み込み系プログラマーは、Java、C言語、C#、C++などを使います。
平均年収
組み込み系プログラマーの平均年収は約「600万円」です。プログラマーの中では年収は高い傾向にあります。
将来性
電化製品が発売される限り組み込み系プログラマーの需要は落ちることはありません。近年ではIoTが注目されているため、今後も組み込み系プログラマーの将来性は高いと予想されます。
汎用系プログラマー
概要・つくるもの
汎用系プログラマーは、膨大なデータを処理する高性能なシステムの開発を行います。主に公的機関や大企業などで用いられる業務システムがそれに該当します。個人情報を扱うシステムが多く、責任感が要求される種類のプログラマーです。
仕様する言語
COBOLやFORTRANなど、事務処理に特化した言語を使用します。
平均年収
汎用系プログラマーの平均年収は約「600万円」となっています。COBOLなどを扱える人材が不足していることから、年収が高くなる傾向にあるとされています。
将来性
汎用系プログラマーの将来性には不安がある、というのが一般的な見方です。汎用システムは昔ながらのシステムのため、今後需要が減る恐れがあります。しかし、既存の汎用システムの新システムへの移行が予想されるため、スキルを持ったエンジニアであれば重宝される可能性もあります。
オープン系プログラマー
概要・つくるもの
オープン系プログラマーは、業務システムを開発します。病院の電子カルテや店舗の顧客情報管理システムなど、様々な業務アプリが該当し、複数のコンピューターでシステムを構築します。
使用する言語
オープン系プログラマーは主に、Java、C#、C+、PHP、Ruby、Python、JavaScriptなどを使います。
平均年収
オープン系プログラマーの平均年収は約「520万円」と、プログラマーのなかではやや高い傾向にあります。
将来性
オープン系プログラマーの将来性はやや低いと予想されています。元々市場規模が小さい業界であり、Web系プログラマーに比べて案件が限定されていることが大きな理由です。
通信系プログラマー
概要・つくるもの
通信系プログラマーは、モデムやWi-Fiルーターといったネットワーク機器やビデオ会議など、通信に特化したプログラムをつくります。通信に特化したプログラマーのため、プログラミング以外にネットワークに関する知識も求められます。
仕様する言語
通信系プログラマーは、Java、C言語、C++などを使います。
平均年収
通信系プログラマーの平均年収は約「630万円」と、プログラマーとしては最高水準の高さです。
将来性
通信系プログラマーの将来性は高いと言われています。クラウドサービスが発展していることから、今後もネットワーク関係のプログラム開発の需要は高まることが予想されますが、クラウドに関する知識も必要になります。
プログラマーの現状と将来性は?
それでは、プログラマー全体の現状と将来性はどのような状態なのでしょうか。
まず現状として、プログラマーをはじめとするIT人材は不足していると言われています。IPAの「DX白書」によれば、デジタル事業に対応する人材のうち、「エンジニア/プログラマー」の「量」に関しては5割以上の企業が、「質」に関しては7割近い企業が「大幅に不足している」「やや不足している」と回答しています。
プログラマーの将来性としては、今後も非常に高いと言われています。IoTやクラウドといった新しい技術を始め、テレワークの普及などの影響もあり、IT化の流れがさらに加速することが予想されるためです。
未経験からプログラマーを目指すポイントは?
それでは、未経験からプログラマーを目指す際にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、注意すべきポイントについてご紹介します。
未経験からプログラマーを目指す人におすすめなのは?
先ほどご紹介した職種の内、もっともおすすめなのは「Web系プログラマー」です。
現在も需要があるため求人件数が多く、将来性も高いことが予想されます。また、HTMLやCSS、JavaScriptといった、フロントエンドで利用されている言語は初心者でも比較的学習しやすいという特徴もあります。
目指す方向を明確にして計画を立てる
未経験からプログラマーを目指す際には、自分の目標を明確にして計画を立てる必要があります。漠然とプログラマーを目指すよりも、プログラマーの種類を把握したうえで、自分がどのような開発に興味があるのか、どのようなキャリアを目指したいのかを明確にすることが重要です。また、自分が目指すキャリアを達成するためにはどのようなステップを踏めばよいのか、計画を立てて実行していくことも大切です。
1つの言語は習得する
まず1つは言語を習得する、というのがプログラマーとして最初に目指すべきステップです。複数の言語を並行して、中途半端に勉強するのはおすすめできません。各プログラミング言語には特徴がありますが、共通する動作もあります。既に習得した言語を基準に勉強することで、新しく勉強する際にも効率よく勉強することができます。
まとめ
IT人材の人手不足は解消される見通しが立たないほど深刻な状況です。しかし、IT人材が不足しているままでは、これからの経済成長を加速させるためのDXの推進などに多大な影響が出ます。
未経験の人がプログラマーとしてIT業界に参画することは、日本の経済のためにも重要なことです。ですが、これまでITスキルを学んでこなかった初心者の方がプログラミング言語を習得することは簡単ではありません。全くの未経験でITの基礎知識もないという状態では、プログラマーに転職することは簡単ではありません。
未経験からプログラマーになるためには、プログラミング言語を1つは習得することが必要です。その際、なりたいプログラマーの種類を決めるためにも、まずはそれぞれの仕事を理解して目指すことが効率的に就職・転職に役立つ近道だということを理解しておいてください。