スタートアップ企業とは、まだ見ぬビジネスモデルを実現するための企業です。革新的な技術やアイデアを強みに、ゼロから市場を切り開き、ビジネスモデルを創出することに挑戦します。
アイデアを形にしやすいこともありIT企業でスタートアップを図るケースが増えています。ITエンジニアとして働くのであれば、スタートアップ企業での働き方を視野にいれておくとよいでしょう。
この記事では、スタートアップ企業の概要をはじめ、特徴や仕組みについて解説します。メリットやデメリット、企業を探すときのポイントもお伝えするので、スタートアップ企業への転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
スタートアップ企業とは?
スタートアップ企業とは、どのような企業なのでしょうか? スタートアップ企業の特徴や仕組み、企業例などをご紹介していきます。
スタートアップ企業の概要
スタートアップは英語でstart upとあらわされ、行動開始や操業開始などの意味を持ちます。かつてのアメリカで、社会を変革させるビジネスモデルを確立して、急激に成長した企業をさす言葉として使われました。
現在は日本でも当たり前のように使われるようになり、スタートアップ企業は短期間で急成長する企業として知られています。
ちなみに一定の評価額を超える企業は下記の名称で区別されています。
ユニコーン企業 | デカコーン企業 | ヘクトコーン企業 | |
評価額 | 10億ドル以上 | 100億ドル以上 | 1,000億ドル以上 |
スタートアップ企業の特徴
スタートアップ企業は、短期間で急成長する企業であることから、ほかの企業とは異なる成長曲線を描くのが特徴です。
事業開始後に課題や解決策の仮説検証、商品、サービスの開発などによって資金を消耗するので、初めは赤字の金額が多くなります。しかし、収益を発生させる基盤が整うと、急激に売り上げが伸びていきます。
結果として時間に対する利益をグラフにあらわすと、スタートアップ企業はJカーブを描くように成長していくことがわかります。
短期間で利益を高める企業なので、即戦力が求められるのも特徴です。人材確保や資金調達に失敗すると、事業が停滞して成長が止まってしまいます。
スタートアップ企業の仕組み
スタートアップ企業は実績がないにも関わらず、なぜ投資対象として選ばれるのか仕組みが気になるところです。
一般的に投資では、知名度の低い企業だと株価が低くなります。つまり、スタートアップ企業に投資するときは、投資額に対して多くの株を購入できるというわけです。
スタートアップ企業が順調に急成長を遂げれば、保有している大量の株を高値で売却できるため、巨額の利益を獲得できます。
巨額の利益を狙って投資をする人々が存在するため、スタートアップ企業が新たなビジネスにチャレンジしていけるのでしょう。
スタートアップ企業例
スタートアップ企業の例としてはメルカリが挙げられます。
メルカリはフリマアプリサービスを運営しているスタートアップ企業です。
メルカリのフリマアプリでは、不用品を登録するだけで必要とする人から購入してもらえます。
2013年7月にサービスを立ち上げ、2014年にはテレビCMを開始して認知度を高めました。サービス開始からわずか1年半で1,000万ダウンロードを達成しています。
現在ではメルペイというポイントサービスも展開し、コンビニエンスストアでもポイント支払いを行えるようになっています。
スタートアップ企業はベンチャー企業と中小企業と何が違う?
スタートアップ企業についてさらに理解を深めるために、スタートアップ企業とベンチャー企業、中小企業の違いについて解説していきます。
ベンチャー企業との違い
ベンチャー企業とは、産業における新成長分野の開拓に向けて新事業に挑戦する企業です。
既存の企業であっても新事業に挑戦するのであればベンチャー企業とみなせます。
新事業に挑戦する点に関して、スタートアップ企業とベンチャー企業は同じであり、全く異なる企業というわけではありません。
ただ、ベンチャー企業とスタートアップ企業を比較すると、スタートアップ企業のほうが短期間で急成長をするイメージが根付いています。おおよそ似ていますが、成長速度に違いがあることを押さえておきましょう。
中小企業との違い
中小企業とは、資本金の額や常時使用する従業員の数が中規模・小規模である企業です。
たとえば卸売業を営む企業であれば、資本金の額が1億円以下かつ常時使用する従業員の数が100人以下だと中小企業に該当します。
引用元:中小企業基本法の中小企業の定義と小規模企業の定義を教えてください。(中小企業庁)
スタートアップ企業は必ず新事業に取り組んでいますが、中小企業は必ずしも新事業に挑戦しているとは限りません。
ただし、資本金の額や常時使用する従業員の数によっては、スタートアップ企業も中小企業に該当することがわかります。
スタートアップ企業のメリット
スタートアップ企業では、これまでになかった革新的な商品・サービスを生み出す必要があるので、最先端技術を学べます。
AIやブロックチェーン、NFTなどの最先端技術を学びたい方であれば、スタートアップ企業を検討してみる価値は高いでしょう。
スタートアップ企業が予定通り急成長を遂げることができれば、売上の増加にともない給与の増加も見込めます。
売上だけでなく認知度も高まるので、最終的に誰しもがあこがれる企業で働けることになります。
スタートアップ企業のデメリット
スタートアップ企業は急成長する可能性とともに、資金難に陥って廃業するリスクもあります。もし廃業してしまえば、転職活動をしなければなりません。
しかし、スタートアップ企業では市場で馴染みのない業務に携わります。場合によっては、一般企業に就職するときにキャリアを活かしづらいこともあるでしょう。
また、スタートアップ企業は立ち上げ段階のため、小人数からビジネスをスタートします。
にもかかわらず短期間で成果をあげることが求められるので、必然的に一人あたりの業務量が増えてしまいがちです。
安定や働きやすさを求める方であれば、中小企業や大企業から優良企業を探したほうがよいでしょう。
スタートアップ企業に向いている人・向いていない人
ここまでの内容をもとにスタートアップ企業に向いている人・向いていない人をまとめてみます。
向いている人 | 向いてない人 |
---|---|
・社会に対して課題意識を持つ人 ・トレンドに敏感な人 ・最新技術を学びたい人 ・タフな精神力を持つ人 ・将来性を重視する人 | ・安定を求める人 ・新しいことに興味が湧かない人 ・働きやすさを重視する人 ・ワークライフバランスを重視する人 ・チャレンジ精神がない人 |
向いている人はチャレンジ意欲のあるアグレッシブな人で、向いていない人とは安定を好んでいて仕事以外の時間も大切にしていている人ということになります。
スタートアップ企業に転職するときのポイント
スタートアップ企業に転職するときのポイントをご紹介していきます。
ポイント1.業界に詳しい社会人から情報をリサーチする
スタートアップ企業は、未開拓の市場でチャレンジしているので、一般的な求人検索では会社の情報を得づらいです。したがって、業界の最前線に身を置く社会人から情報をリサーチする必要があります。
親戚や友人などのネットワークを駆使して、経営者や役員、管理職などを紹介してもらい、スタートアップ企業に関する情報を収集しましょう。
ポイント2.大学の教授に紹介してもらう
大学の教授は、企業と共同で最先端の技術を研究するケースもあります。一般的には知られていないスタートアップ企業との接点があってもおかしくはありません。
所属していた研究室の教授にスタートアップ企業を紹介してもらうことも検討してみるとよいでしょう。
ポイント3.転職エージェントを利用する
転職エージェントは、求人の紹介や面接スケジュールの調整、年収交渉など、さまざまな転職サポートを行っているサービスです。
業界の最新情報や非公開求人情報も提供してくれるので、今まで知ることができなかったスタートアップ企業を見つけられる可能性があります。
特にIT業界を専門としている転職エージェントであれば、業界に精通していることはもちろん、テクニカルな条件などについても希望が伝わりやすく、コミュニケーションギャップを感じることなく、スムーズな転職活動が実現できるでしょう。
まとめ
起業に対して難しい、リスクが高いというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、最近では学生のうちから起業する人も増えています。
ただ、起業に興味があっても具体的な方法がイメージできない方も多いでしょう。その場合、スタートアップ企業で起業のフローを学ぶのも有力な選択肢です。
スタートアップ企業であれば、新たなビジネスを立ち上げて収益を獲得するまでの過程を体験できます。
優秀な人材が集まる企業なので、ビジネススキルも効率的に習得できます。事業が成功すれば、将来的に誰しもがあこがれる企業で働けることになるでしょう。
起業のプロセスを学びたい方、ビジネススキルを効率的に習得したい方、将来性の高さを重視する方は、ぜひスタートアップ企業への転職を考えてみてください。