SDGsやサステナブルという言葉をニュースやテレビ・ネットで目にしたり、耳にしない日が無いほど増えたなと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
漠然と気候変動などの環境問題や人権問題・貧困などの課題を解決していこう、格差をなくそうというようなことだと理解はしているけれど、詳細まで把握されていらっしゃる方は少ないかもしれません。
2020年から始まった新型コロナウィルスの猛威は、世界に大きな影を落としており、未だ収束が見えない中、これらの課題に対し世界はどのように向き合っていくべきなのでしょう。
そこで当記事では世界の全ての人々で2030年までに解決を目指すSDGs(持続可能な開発目標)とはどのようなことなのか、わかりやすく解説してまいます。
また、IT業界、ITエンジニアとも深く関連がある『SDGsテック』という言葉に関しては、まだまだ耳にしたことがある方も少ないと思いますが、そこにはとてつもなく大きな市場が広がっていることをご存知でしょうか。
DX推進が急加速に進んでいく中、今後SDGs テックというキーワードがトレンドになってくることは確実かもしれません。
ITエンジニアとしてSDGsにどのように向き合っていくか、本記事をご覧いただきご一考頂ければ幸いです。
Contents
SDGs(エスディージーズ)をわかりやすく説明
SDGsとは「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の略で、現在ではかなり広く浸透したワードではないでしょうか。
2015年の国連サミットで「誰一人取り残さない」ことを理念とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として取り上げられ採択されたが発端のSDGs。
最終的なゴールを2030年とした上で、SDGsでは以下のように”17の目標”を掲げているのです。
17の目標をわかりやすく解説
SDGsが掲げる17の目標について見てみましょう。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- 全ての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤を作ろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられる街づくりを
- つくる責任 使う責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と構成を全ての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
簡単にまとめると、「2030年までに国や地域の垣根を超えて、環境を守り、人々があらゆる差別から開放され安心して暮らし続けられるようにしていこう」といことになります。
一人一人また1企業として全ての目標を達成することは難しく感じられる部分も多いですが、それぞれができることから着手して、長期的に住み続けられる環境を整えていくのだ、という意識を持つことが求められている、ということでしょう。
こう見ていくと、環境や人種・性別の差別だけでなく全てのことが「今後も私たち人間が人間らしく生きていけるためにすべきこと」をわかりやすく指標化しているという見方もできますね。
また17の目標だけ見ると少々漠然としたイメージを受けてしまうかもしれませんが、更に細分化した169のターゲットも定められています。
SDGsで掲げられた17全ての目標に対しての達成スコアランキング(出典:Sustainable Development Report|Rankings)によれば日本はスコア79.85で18位となっています。
上位をみてみると、スコア85.9のフィンランドが1位、スコア85.61のスウェーデンが2位、続いて3位となるのがスコア84.86のデンマークでした。
17の目標のうち日本が特に力を入れて達成すべきとされているのは、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、目標13(気候変動に具体的な対策を)、目標14(海の豊かさを守ろう)、目標15(陸の豊かさも守ろう)、目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)の5目標となっています。
SDGsが設定された背景とは?
SDGsには前身として2000年に同じく国連サミットで採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)というものがありました。
MDGsは途上国の貧困問題・環境目標・ジェンダーレス社会の実現などを含む”8つの目標”を掲げたものでしたが、主に先進国のみで進められ、地域格差が埋まることなく結果を出せずに終わってしまっていたのだそうです。
後に2015年の国連サミットで採択されたSDGsですが、2017年に政治経済のリーダーにより行われた「ダボス会議」で『SDGsを推進することが経済界にも大きなメリットをもたらすことになる(雇用創出や大きな経済的価値を生み出すなど)』、と発表されたことをきっかけとして広まっていきました。
前身のMDGsと何が違う?
もっともわかりやすく違うのがMDGsが「途上国をターゲットとして全世界共通の数値を目標としていた」のに対してSDGsは「世界全体をターゲットとしながら国や地域という比較的小さな単位ごとに目標値を設定している」ということです。
MDGsでは課題解決に地域格差が考慮されておらず、世界的にみてまだまだというレベルであっても効果が出ている地域でも「失敗している」とみなされてしまうということも問題点として挙げられていました。
またMDGsでは現地からの情報ではなく外から見ているだけの国連の専門家によるトップダウンで推し進められていたのに対し、SDGSではMDGsの失敗点を踏まえ、加盟する各国からのボトムアップで推し進められている、ということも大きな違いでしょう。
その他にもMDGsにはなかった「(持続可能な)エネルギーへのアクセスを確立する」や「国内・各国間の不平等をなくす」そして今後も私たち人間が生活していくために欠かせない地球資源・産業などを持続可能な形で守っていくための取り組みが含まれている点もMDGsにはなかったポイントです。
SDGsテックとは?
先にお伝えしたように、経済界にも大きなメリットをもたらすという発表をきっかけに広まったSDGsですが、具体的には年間12兆ドルの市場規模になると発表されたことにより、日本企業も本腰を入れてSDGsを目標として掲げ始めました。
実際SDGsへの取り組みを本格的に進める企業の中には、サスティナビリティレポートを公開するなどしており、そうした企業を投資先として選ぶ投資家も増えています。
そのような背景からも注目度が高まっているのが「SDGsテック」というもの。
SDGsテックとは厳密には、PwCコンサルティングが開発した「インテリジェントビジネスアナリティクス」というものを用いて、10年分の特許情報の約3500万件対象に、SDGsに貢献する技術として特に重要としたものを「SDGsテック」と名付けたものを指しますが、広義的には「SDGsの目標をを達成するために用いられるデジタルテクノロジー」を指しています。
IT業界で最近言われる「DX化」もその一つ。
IT業界からのアプローチでSDGsの目標を達成する、そのために企業として取り組んでいけることは何かを模索する動きが活発となっています。
SDGsテックの成功例として有名なものの中には、日産自動車による「EVカーシェアリングサービス」もあります。
SDGsテックは1000兆を超える市場規模?
SDGsテックへの取り組みは世界のためになるということもあり、「慈善事業だろう」という見方からビジネスチャンスと捉えていないケースもあるようです。
ですが「SDGsは今後のための世界中のニーズそのもの」となっている現状もあり、1000兆を超える市場規模になることもある、という見方もあります。
海洋問題・途上国への清潔な水の供給・排気ガスを減らし地球環境を守りつつニーズのある場所で気軽に車を利用できる取り組みなどで既にシェアを拡大し成功をおさめる企業もありますから、この見方は間違いないものと捉えても問題ないのではないでしょうか。
また、17の目標を達成するためにはITの活用は必須となっており、AIや活用やデジタル化は更に進んでいくものと見られます。ITを活用することで、実現できることも多く、効率化も図れることからSDGsテックの市場が1000兆規模ということもうなずけます。
SDGsテックのメリット・デメリット
SDGsテックを事業として進めていくことで発生するメリット・デメリットについてもチェックしてみましょう。
SDGsテックのメリット
メリットとしてしまうと少し違ってしまうかもしれませんが、SDGsは大企業よりも中小企業のほうがスピーディーに取り組みを開始しやすいという点があげられます。
様々な決定もスピーディーに進めやすい中小企業では、コスト面の課題をクリアできればスムーズに邁進することも可能です。
また近年ではビジネス上のやり取りにおいても、「SDGsへの取り組みはしているのか」ということが注視される傾向にあります。
そのため、SDGsへの取り組みをしていることがきっかけとなり、企業ブランディングにプラスの働きとなり、取引が成立しやすい状況となることも想定されています。
SDGsテックのデメリット
SDGsテックを推進していくうえで最も大きなリスクとなるのは、デジタルシステムであるが故の「システム障害」は見逃せない課題です。
SDGsが進み、よりネット人口が増え様々なことがネット上でできるようになれば、今以上にネット負荷が増幅することは避けられません。
そうなっても問題なく運用できる仕組みを整えることや、そのためのサーバー増設などコストもかかってしまう点はデメリットと言えるのかもしれません。
また企業内でのSDGsの取り組みを始めたばかりのころは、理解が均一でないため様々なところでスムーズにいかない、というシーンがあることも懸念されます。
ミーティングや資料の作成などSDGsに取り組むうえで避けられない変革により、社内の混乱は避けられないものでもあるでしょう。
大きな混乱を避けるためにも社内での情報共有や初期の講習など行い、事前の情報共有、理解の均一化が必要といえます。
なによりSDGsテック事業に参画するのであれば、正しい理解のもと、プロジェクトを進行しないと、ゴールが違ったものになってしまう可能性があるからです。
まとめ
SDGsテックは1000兆規模の市場であることは前述でご理解いただけたかと思います。
特別な技術を持つIT企業でないと取り組めないのではないかというイメージを持たれていた方もいらっしゃると思いますが、実際にはそんなことはありません。
様々な全世界の企業がSDGsを意識した取り組みを展開している中、日本でも大手企業を中心に様々な視点でSDGsテックを実現しようと取り組んでいます。
IT技術を活用してSDGsの目標を達成しようという試みにはチャレンジするだけの価値があることでしょう。
ITエンジニアとしてもぜひ、SDGsテックに取り組み、ビジネスチャンスをものにできるよう努力してみていくことで新たな活路が見いだせるのではないでしょうか。
SDGsの目標をIT技術で達成しようとするいう挑戦は、ビジネスシーンにおいても企業価値を向上させるものに違いなく、クリーンな企業イメージも付加できます。
改めてSDGsテックについて考えていただき、ITエンジニアとしてどのような取り組みができるのか、巨大な市場に乗り出していく楽しさも味わいつつ、身近なことにも潜むビジネスチャンスを意識されてみてください。
また、SDGsとITは無関係だと思っていた人も多いと思いますが、SDGsテックとして目標達成に貢献できるならITエンジニアになりたいと思った人もいるのではないでしょうか。
ITエンジニア、IT業界はプログラミングなどの難しい技術を習得しないといけない、残業が多く給料も安いのではと思っている人も多いと思います。
しかし、現在のIT業界は働き方改革の推進、テレワークなどのニューノーマルな働き方など様々な施策に率先して導入してきているホワイト企業が多い業界になりつつあります。
また、平均年収も他の職業と比較しても高い水準にあることはデータとして証明されています。
2030年には最大79万人のIT人材が不足するという政府の試算もあり、今後IT人材は多くの人を他職種から迎え入れたり、新卒の採用を強化したりと対策が必要な状況になっています。
未経験の人でも広く門戸は開かれており、ITエンジニアとして様々な方法や手段があります。
ITエンジニアに興味をもたれたなら、まずは企業報恩などをしたり、セミナーに参加したりと情報収集から始めてみてください。
未経験からITエンジニアへ転職しようとすると、目立つ求人は条件がよく、1から全て教えてくれるようなPRが記載されていることがありまうが、実際に入社したらブラック企業で残業も多く、上司が威圧的な態度であるようなこともあります。
以前よりはだいぶ減りましたが、まだ一部の企業ではブラック企業と言われても仕方のないような働き方が横行している企業もあります。
ですので、まずは多くの企業の情報を収集し、IT業界に対する理解を深めていただき、自身の適性と照らし併せ、最適な転職を実現することが大切だと思います。
未経験だからと諦める必要はありません、まずは情報収集から始めIT業界のこと、自分にあった会社をみつけてくあさい。