通信や情報技術などのIT は、現代のビジネスや生活に欠かせないツールとなりました。
そんな状況もあってか、最近では ITエンジニアになるべく、インターンに参加したいと思っている学生の方も多いのではないでしょうか。
しかし、エンジニアの長期インターンに参加したいと思っても、人気がありすぎて倍率が高く、合格できないだろうと考えている人も多いと思います。
ましてや、文系で IT については詳しくなく、プログラミングも未経験だから選考には合格するわけがないと決めつけてしまっていませんか?
では、実際にプログラミング未経験であっても、IT エンジニアのインターンの選考に合格することはできるのでしょうか?IT エンジニアのインターンとは、どのようなことをするのかを含め、詳しく解説します。
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エンジニアのインターンとは?
インターンとはインターンシップを意味する言葉で、主に学生が自分の興味がある企業で就業体験をすることで、希望する企業または業界が自分に合っているのか事前に確かめることができます仕組みのことを言います。
また、実務としてプログラミングをするようなインターンもあり、そこでスキルアップを目指したり、就活時のアピールポイントにしたりする目的でインターンに参加する学生もいます。
昨今では、多くの業界がインターンプログラムを実施しており、エンジニア向けのインターンでも、多くの IT 企業が募集をしています。
インターンシップは、学生側・企業側のどちらにもメリットがありますので、企業も率先してインターンを募集しているという背景もあります。
インターンの期間は、短期であれば1日から1週間程度、長期であれば半年以上の募集などもがあり、長期インターンであれば、エンジニアとしての実務を経験することもできます。
インターンに参加する企業の種類
誰もが知っている大手企業からスタートアップ企業まで、多くの IT 企業がインターンを実施しています。インターンに参加している企業の種類には主に次のようなものがあります。
SIer(システム開発会社)
クライアント企業からの依頼で、ソフトウエアの設計や運用、コンサルティングを請け負う企業がSIer(エスアイヤー)と呼ばれる企業です。
SIer は大きくメーカー系と独立系に分類され、メーカー系の有名なところでは、NTTデータ、日立ソリューションズなど、独立系では大塚商会や TIS がエンジニアのインターンを実施しています。
依頼をうけた要件をまとめ、設計を行ってからプログラミングをしてテストするということをプロジェクト単位で常に実行しています。
似たような業種としてSESがありますが、SESは準委任契約であることが多くITエンジニアのスキルによって、1ヶ月の費用が決まっており、プロジェクトの進行状況等に関わらず売上となります。また作業場所も、基本的に依頼元の企業に常駐し作業を行うことになります。SIerの請負開発は基本的には自社での作業となり、契約も請負契約であることからプロジェクトが当初想定通りに完遂できれば、予定どおりの利益が見込めることになります。
自社サービス・パッケージの開発・運営
自社で企画/設計から開発までを行ったゲームやウェブサービスを売って、利益を得ている企業で、LINE、サイバーエージェント、GREEなどの一度は耳にしたことがある企業が、これに該当します。
自社でサービスの開発を行っている企業は、新しい技術を積極的に取り入れていたり、自由な社風が多いことから、インターン先の企業としても人気があります。
また、これから成長が見込まれるようなベンチャー企業や、日本に参集してきた外資ベンチャーなどもインターンを募集していますが、これらは企業の成長過程を垣間見ることができるのと、働く環境が日本企業の習慣にとらわれることがない場合も多く、とても人気があります。
エンジニアのインターンに参加するメリット
エンジニアのインターンシップに参加することによって得られるメリットをいくつか紹介します。
技術力が身につく
個人がプログラミングの学習過程で作るプログラムに比べ、実際の業務で作るプログラムは難易度も高く、扱う技術や環境も高度になり、独学では手に入れることが難しいスキルが身につきます。
よく、未経験でITエンジニアに転職を考えるさいに、実務経験を重視する企業が多いのには理由があります。
大学やスクール、独学でプログラミングの勉強を重ねて習得したと思っていても、実務ではあまり役に立たない事が多いのです。なぜなら、エラー処理の考え方や、汎用性も考えた設計など、プログラミングスキルだけではない知識やノウハウも必要とされるので、実務経験を積んでいることに重きをおいている企業が多いのです。
特に、AWS や Azure などの課金型のクラウドサービスや、高額な費用が発生するツールなどの場合、個人で用意するのは金銭的に難しい場合もありますが、インターンであれば触れられる機会があります。
そういった実務に親しい経験値を得られるのがインターンの一番のメリットだとも言えます。
アドバイスを受けることができる(教えてもらえる)
現場で働くエンジニアが講師となるインターンの場合、最前線で働くエンジニアの知識やノウハウを学ぶことができ、分からないことがあれば、すぐに聞ける環境があるのが強みです。
また、技術的なことだけでなく、キャリアプランに関して相談に乗ってもらえるチャンスもあり、学生生活だけでは得られない貴重な体験やアドバイスを得ることができます。
日々、ITエンジニアとして実務を経験している方に色々と話ができるだけでも、独学で学習をすすめるよりも何倍も価値がある時間を過ごせるでしょう。
IT業界の知識が学べる
実際にインターン先の企業に入り、実務などを体験することができるため、実際の業務の様子や、その業界や企業のことについて、転職サイトや会社説明会だけでは見えない部分も把握でき、インターン後の企業研究や就職活動に大きく役立ちます。
適正があるか判断できるようになる
自分がエンジニアに向いているのか、実際に働いてみることで適性があるか判断できます。また、仕事内容や先輩社員の姿が、自分が思っていた将来の目指す姿と合っているかも見極めることもできます。
就職に有利に働く
エンジニアは慢性的な人材不足と言われており、企業は優秀な人材を速いタミングから確保したいと思っています。
経済産業省委託事業の調査によると、2030年には最悪の場合79万人、2025年にも45万人のITエンジニアが不足すると予測されているのです。
これはとてつもなく膨大な人材が不足していることとなり、DXの推進が叫ばれているなか、深刻な状況になりかねません。
参考:経済産業省委託事業 IT 人材需給に関する調査
逆に考えれば、企業側は優秀な人材を他者よりも先立って確保したいという思惑もあるからこそインターンを開催する場合だってあるのです。
インターンで企業から高い評価を得られれば、早いタイミングから内定を貰うことも可能となり、就職活動で有利に働きます。
エンジニアインターンの長期と短期の違い
エンジニア向けのインターンシップは、大きく短期インターンと長期インターンに分類されます。
エンジニアの短期インターン
短期インターンシップは1日から、長いと1週間程度にわたって行われます。
コーディングのような実務的な作業は基本的にはなく、企業の説明を聞いたり、出される課題に対してワークショップ形式で取り組んだりします。
実際に行われている短期インターンには、次のようなものがあります。
企画
企業や個人の生活における課題の発見と、新たなニーズの洗い出しを行い、新規サービスの企画をします。主にグループ内でのディスカッションを行い、最終的にプレゼンテーションを行い、先輩社員や、時には企業のCEOや役員からフィードバックをもらいます。
収益性や実現性の評価なども行ってくれるため、ビジネスとしての体験を得ることができます。
エンジニアの長期インターン
エンジニア向けのインターンで多いのが、長期インターンです。実際に先輩エンジニアと組んで、コーディングやシステムの運用を任されるプログラムが数多くあります。
時給が発生する募集も多いため、給料を貰いながらスキルアップを目指すことも可能です。
長期インターンには、次のようなものがあります。
コーディング(開発)
先輩社員や同期とチームを組んで、プログラミング言語を駆使してコーディング作業を行います。
近年人気のデータサイエンスや、ウェブアプリ、スマホアプリなど、インターン先の企業が手掛けているサービスの開発をします。
システム設計
SE(システムエンジニア)の業務を体験できるインターシップもあります。
アプリ系の SE であれば、ユーザーと画面デザインを合意する時に使用するモックアップの作成や、システムの処理設計などを行います。机上で設計するだけでなく、実際にプログラミングを行い、ユーザーから要望された内容の実現性を検証することもあります。
インフラ系の SE であれば、サーバーの設定やネットワークの設計・構築などを担当します。インフラ系のインターン募集は、アプリ系に比べると少ない傾向にあります。
長期と短期の違いとは?
上述したように、短期インターンと長期インターンでは、体験できる内容に大きな違いがあります。
どちらが良い悪いというものではなく、自分の目標に合ったインターンを選択するようにしましょう。
基本的には、企業の研究や職場体験をする場合は「短期インターン」、スキルアップや実務経験を積むのであれば「長期インターン」といった具合で自分に合ったものを選択しましょう。
エンジニア未経験でも参加はできるのか?
エンジニア未経験・プログラミング知識なしでも、インターンシップに参加できるのでしょうか?
業務未経験はOKだが、プログラミング未経験は難しい
短期のインターンであれば、ワークショップ形式など、実務がないプログラムが多いため、未経験でも参加することは可能ですが、長期インターンの場合、募集条件に「未経験OK」と書かれていた場合でも、基本的にはプログラミング知識が必要とされ、それがない場合は狭き門となるでしょう。
未経験でもプログラミング知識が必要とされる理由には、慢性的な人手不足である IT 業界では、教育をする人材すらも不足しているため、未経験より即戦力が求められていることや、採用する企業の立場からすれば、学生時代に独学や授業でプログラミングを勉強してきた人と、未経験者の場合、当然ながら育成する時間も少なく、やる気のある学生を採用したいと企業側は考えているからです。
未経験者が選考に合格するためにすること
インターンに限らず、通常の採用でも即戦力が求められるエンジニア採用で、未経験が選考に合格するためのポイントは、自分の IT スキルを効果的にアピールすることが重要です。
プログラミングに関する書籍やオンラインスクールで学ぶことで、ある程度の IT スキルを身につけることは可能です。
しかし、応募書類に「○○のプログラミング言語を学習しました」と書かれているだけでは、採用担当がエンジニアとしての素質を図ることが難しと言えるでしょう。
学習した内容を使って、簡単なものでもいいから何かアプリを作ってみて、ポートフォリオなどで提示することで、効果的に自分の IT スキルをアピールできます。
エンジニアのポートフォリオについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
未経験エンジニアのポートフォリオの作り方とは?あなたをアピールできる方法を伝授!
まとめ
近年、長期インターンシップを実施しているIT企業が増えています。
その背景には深刻なITエンジニア不足が訪れることが間近に迫っていることも要因の一つでしょう。
IT企業も本来は即戦力となる経験豊富なエンジニアを中途採用で獲得したいのですが、ITエンジニアの転職市場で経験者を獲得することは非常に難しく、人材紹介を介しても獲得できない企業が溢れています。
経済産業省の発表でも2030年には最大79万のIT人材が不足するとされています。
デジタル庁の発足を初め、DXの促進など、ITエンジニアの需要は更に鰻登りで上昇することは目に見えているのです。
IT企業が中途採用を見込めないとなると、新卒者を育てることにシフトするのは当然の流れではないでしょうか。
しかし、今度は素養があるような理系でプログラミング経験のある学生にフォーカスがあたりますが、恐らくそれでもIT人材の不足は補えないでしょう。
もし、これほど人材が不足している業界で、実務経験者としてITエンジニアになることができれば、多少の年収アップも実現できる可能性は高いと言えます。
未経験だったとしても、ご自身の努力次第で長期インターンシップに参加することは可能です。
学生のあいだに、ITスキルを身に着け、実務を経験しておくことは、就活で有利になることはもちろん、新卒時に未経験という人たちにも大きくアドバンテージがある状況を作れます。
ITエンジニアとして働きたいというビジョンをお持ちでしたら、未経験であってもインターンという選択肢は検討する価値は多いにあるともいます。
ただし、インターンに参加できたとしても、その環境に流されるだけではなく、自身で努力や勉強をすることは非常に重要です。貴方の将来に向けた初めの一歩を輝かしいものにするためにも、インターンの時間を大切にすごしてください。