新型コロナウィルスが5類感染症へ移行したことを受け、リモートワークから出社へ切り替える企業が増えてきました。一方で、フリーランスプログラマーやエンジニアのなかには、依然としてリモートワークとして自宅で働いている人も多いことでしょう。
場所や時間にとらわれず自由に働けることは、フリーランスプログラマーとして働くうえで魅力の一つですよね。ただ、未就学の子どもを育てている人のなかには、「子どもが家にいて仕事に集中できない!」という悩みを抱えている人も少なくありません。より集中できる環境を求めて、保育園を検討している人もいることでしょう。
保育園を探していると、しばしば耳にするのが「フリーランスは保育園の審査に通りづらい」という話です。これは本当なのでしょうか。
結論から言えば、フリーランスプログラマーであっても、保育園へ子どもを預けることは可能です。ただし、その場合にはしっかりと準備を行ったうえで、コツを押さえて進める必要があります。
この記事では、「フリーランスプログラマーが子どもを保育園へ預けることが難しいのか?」という疑問に答えるとともに、入園するためのコツを詳しく解説します。
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Contents
「フリーランスだと保育園に入るのは難しい」は本当なのか?
厚生労働省の待機児童数調査によると、2022年4月の段階での待機児童数2,944人となっており、前年と比べて2,690人減少、調査開始以来4年連続で減少しています。この場合の待機児童とは、認可保育所(保育所型認定こども園の保育所部分を含む)のほか、幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園などを含みます。
自治体によっては依然として待機児童問題を抱えるところがあるものの、「保育園落ちた日本死ね!!!」というセンセーショナルなつぶやきによって待機児童問題が大きく叫ばれた2016年と比べると、「保育園へ入りにくい」という状況は解消されつつあります。
一方で、フリーランスとして働いている人は、企業務めの会社員と比較すると収入や就業日数が不安定であることから、認可保育園への入所選考において不利な立場であると言われてきました。
このような状況を受け、内閣府は2017年12月、フリーランスの保育所利用に関する業務連絡を出しました。この内容によると、フリーランスが保育所へ入る際に「一律に不利な点数付けを行うことは不適切」であると指摘し、是正を行う要請を出しています。
政府が兼業・副業を推奨するなかでフリーランス人口は増加傾向にあり、今後フリーランスが保育園に入りにくい状況も変化していくことが予想されます。
引用:多様な働き方に応じた保育所等の利用調整等に係る取扱いについて|内閣府
入園審査の内容はどうなっている?
保育園の入園審査は、保護者の就労形態や勤務状況、妊娠・出産やケガ、介護、就学などの状況、ひとり親世帯や生活困窮者かどうかといった基準をもとに行われます。
さらに世帯状況や就労実績、同居親族の状況、収入実績なども審査の対象になります。
自治体によって違いがあるので注意!
認可保育園への入園基準は、各自治体によって異なります。
待機児童数が多い自治体とゼロの自治体では定めている基準が大きく異なる場合もあるため、注意が必要です。待機児童が少なくても地域住民の反対などによって保育園の新設が難しいエリアでは、基準が厳しいケースもあります。
保育園に預けるためのポイント
フリーランスプログラマーが保育園へ子どもを預けたい場合には、フリーランスとしての就業に関する情報を正確に記入することが大切です。
入園審査書類の記入に必要な情報には、住所、氏名、業種、勤務時間や勤務場所、勤務内容、直近3か月の収入状況などがあります。自治体によって必要な情報が異なるので、注意してください。
就業状況に関する情報は事実としてごまかせないものなので、内容によっては入園審査に不利となる場合はあります。しかし、就業を証明できる書類などをすべて揃えておくことで、マイナス評価を回避できることもあります。
居住地の自治体の入園審査の情報をしっかり確認し、どんな書類や情報が必要かをしっかりとチェックしておきましょう。
準備しておく書類について
ここでは、フリーランスプログラマーが子どもを保育園へ預ける際に準備しておくべき書類についてご紹介します。
開業届の控え
保育園の入園審査を受ける場合に、フリーランスとして本当に働いていることを証明するものが必要になる場合があります。そこで役立つのが、開業届の控えです。
税務署へ提出している公式書類のため、個人で事業を行っていることを明確に証明できます。また、屋号を持っていることで社会的信用もアップします。
開業届の控えの提出は必須ではありませんが、あらかじめ準備して必要な場合にすぐ出せるようにしておくことで、審査をスムーズに進められる場合があります。
就労証明書
就労証明証は、保育園の入園申請の際に自治体へ提出するものです。
会社に属して働く場合には勤務先が作成しますが、フリーランスの場合には自筆で作成する必要があり、さらに就労状況がわかる書類を別途求められるケースもあります。
保育園の審査に関係する点数制
認可保育園の入園審査は、各自治体の利用調整基準に基づいて世帯ごとの保護者を優先順位や基準指数によって区分し、順位・指数がより高い世帯から順番に入園の内定が出されます。世帯が同じランクで競合しているケースでは、調整指数を算出し、算出した数値がより高い世帯が優先されます。
例えば神奈川県横浜市の基準の場合、もっとも緊急度が高いランク「A」に該当するのは「月20日以上かつ就労時間1週40時間以上の労働に従事している」人となっています。このほか、産前・産後や病気・けが、障害、介護、通学などの面で考慮が必要な人も「A」に該当します。同様に、保護者が「月20日以上かつ就労時間1週35時間以上40時間未満の労働」ならランク「B」、「月16日以上かつ就労時間1週24時間以上の労働」ならランク「C」などという形でランクが決定します。
横浜市でランクが競合した場合には、独自の調整指数をもとに優先順位を定めます。たとえば「横浜保育室、認可乳児保育所、小規模保育事業、家庭的保育事業等の卒園児」や「きょうだいの育児休業のため、横浜保育室、認可乳児保育所、小規模保育事業、家庭的保育事業等を卒園前に利用を止め、復職時に申請をする場合」であれば、調整指数の最高値「5」が加算されます。
このように、基準は自治体に応じて異なりますが、保育の必要性と緊急度を総合的に判断し、点数制におきかえて審査が行われているのです。
点数を増やすためには
フリーランスプログラマーが保育園入園を申請する際には、審査の点数をいかに増やせるかが大きなポイントになります。ここでは、点数を増やすためにやるべきことをご紹介します。
開業届を出す
準備しておくべき提出書類としてご紹介した開業届の控えは、フリーランスとしての活動実態を公的に示す重要な書類です。このため、開業届をまだ提出していないというフリーランスは、開業届を提出することで、審査の点数が有利に働く可能性があります。
認可外保育園に一旦入れる
入園審査のランクや指数を計算する際に、現時点で認可外保育園へ子どもを預けていることが加点対象になり、認可保育園へ優先的に入れる場合があります。審査基準は自治体によって異なりますので、居住地の自治体の基準表を確認してみましょう。
入園できても収入がないと退園させられる?
フリーランスとして駆け出しの頃などは、収入がない、あるいは収入が安定しないこともあり、「収入がないと退園させられるのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、これまでの説明にあるとおり、就労していることが書類でしっかり証明できていれば、そこまで心配はいらないでしょう。
どうしても不安な場合には、入園審査の前に居住地のある自治体の相談窓口などで確認してみると安心ですね。
フリーランスでも保育園に入園できる!
フリーランスは、会社勤めの人と比べると収入が不明瞭だったり、不安定だったりすることから、保育園への入園審査では不利に働く可能性はあります。
しかし、開業届などでフリーランスとして働いていることを証明でき、勤務実態をしっかり準備して報告できる状態にしておけば、保育園へ入園することは可能です。
各自治体の相談窓口などを適切に活用しつつ、審査の点数を高められるようしっかり準備を進めましょう。
まとめ
この記事では、フリーランスプログラマーが子どもを保育園へ預けることが難しいと言われる理由と、実際に保育園に入園するための必要なことを解説してきました。
フリーランスプログラマーの保育園入園は、審査が有利に進むよう申請前にしっかりと情報収集を行うことが大切です。
フリーランスであることによって入園審査で不利になるケースはありますが、副業・兼業が推奨され、新しい働き方が増えてくるなか、今後さらに制度は見直されていくことでしょう。
「保育園に入れないかもしれないし・・・」と自分ひとりで抱え込まずに、悩んだ時には自治体や周囲の人に相談してみることもおすすめです。フリーランスの保育園入園に関する事例は増えているので、相談してみることでさまざまな得られる情報が得られます。