エンジニア・プログラマとして従事される方の中には、
「管理職は面倒でなっても良いことがない」
「管理職なんてなりたくない」
「役職なんていらない」
と、会社内での役職上の昇進に興味が持てない、という方も少なくない時代です。
インターネットで様々な情報を入手できるようになり、多くのメディアで「管理職や役職者となることのデメリット」が取り沙汰されることも多くなったことも要因の1つでしょう。
そもそもエンジニア・プログラマを目指してここまで頑張ってきたのは「モノづくりの楽しさ」があるから、とおっしゃる方もいます。
ですが社歴も長くなってくると、どうしても管理職・役職者となりメンバーを引っ張っていく存在とならなくてはならない、というプレッシャーから転職を検討する方も。
本記事では『本当に役職者・管理職となることはメリットがないのか』について言及し、エンジニア・プログラマとしてのこの後の選択肢について検討してまいります。
管理職になりたくない、役職なんていらないという方々がどうしてそう考えるのか、それは真実なのか見ていきましょう。
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Contents
80%ものもエンジニアが管理職になりたくない理由
エンジニアがどうして管理職になりたくない、役職なんていらないと考えるのか、その理由について調査しました。
マンパワーグループが「役職についていない20~50代の400名の正社員」を対象に行った調査によると、80%が「役職・管理職には就きたくない」と回答しており、その理由として以下が挙げられていました。
- 責任の重い仕事をしたくない
- 報酬面でのメリットが少ないと感じる
- 業務負荷が高い
- 面倒なマネジメント業務が増加するから
- 部下の育成に興味がない
- 今の業務・ポジションで満足だから
- 自分のやりたい仕事ができなくなる
- マネジメントでなく自分の専門性を高めたい
上から順に回答数が多いもの(複数回答可)ですが、実に51.2%が「責任の重い仕事をしたくない」と回答しており、次いで40%が「報酬面のメリットが少ない」「業務負荷が高い」ことを懸念していました。
企業規模によっては管理職となると、業務負荷だけは高くなるものの、それに見合った報酬が得られない状況となっていることも管理職を希望しないエンジニアが増加している理由といえるでしょう。
参考:マンパワーグループ「8割超の一般社員が「管理職になりたくない」と回答。その理由とは?」
管理職希望者は40代までになることを希望している
マンパワーグループが行った同調査では、「いつまでに役職・管理職になりたいか」というアンケートもとられており、その結果をみると管理職に前向きなのは20~30代の社員で、多くが40代までに管理職になることを希望していました。
この結果を見ると、あまりに長く管理職になれない社風、というのも時代背景を踏まえると企業としての成長力がそがれてしまう懸念も見えてきます。
またその際、「なぜ管理職になりたいのか」という問いに対しては、以下が挙げられており、上から順に回答率が高いものとなっています。
- 報酬UPが魅力
- 自身の成長に繋がる
- 自分が会社から評価されると感じられそうだから
- より大きな仕事にチャレンジできる
- 影響力がもてる
- 自分のやりたいことをやりやすくなる
- 部下の育成に興味がある
- より上の役職を目指しているから
割合でみると、88%が「報酬UPが魅力」と応えており、社員が上を目指したいと思える企業となることも、企業に求められる素因であるとも言えるでしょう。
管理職になりたくないエンジニアが増加する背景
管理職になりたくない、役職はいらないという言葉だけをみると、上の世代からは「今の若者はハングリー精神が足りないのだ」という声が聞えてきます。
ですが詳細をひも解いていくと、管理職を希望する社員もいて、その理由もお伝えした通りでした。
管理職になりたい理由と対極にあるのが、管理職になりたくない理由と見えたこの調査を踏まえると、「管理職になりたいと思える企業が少ない」ということも1つの大きな要因なのでしょう。
様々な要因から不景気が続く今、企業としての成長力も昔ほどない企業も多くあります。
「やっているのに報酬に比例しない」からこそ、責任が重くなる、業務負荷が高いことがわかっている管理職や役職者にはなりたくない、と考えるエンジニアが増えるのは当然の結果ではないかとも考えられます。
管理職にならない場合のキャリアプランは?
社歴が長くなると、管理職への道に後押しするても増えてきたと感じる方もいらっしゃるかも知れません。
とはいえ、なりたくない管理職、自分にとって不要と思える役職のために重い責任を引き受けることに前向きになれる方もいないでしょう。
では管理職にならない場合、退職するしかないのか?というとそうではありません。管理職にならない場合のキャリアプランも様々ですが、代表的なものをピックアップしてご紹介します。
- 自身の専門性を突き詰め、エンジニアとしての成長を遂げる
- 退職し自分の専門性を活かしステップアップできる先に転職する
- フリーランスエンジニアになる
どの道を選ぶのもエンジニアの皆さんの自由です。社風としてどうしてもエンジニアとして居続けられない、圧力がかかっているということがあるならば、2つ目・3つ目の選択肢を視野に行動していくことも可能。
必ずしも役職者や管理職にならなくてはならないことはなく、それが許される企業や働き方もあります。
エンジニアを追求した場合の将来は?
エンジニアとして更にステップアップをしたい、という場合は上でご紹介した2つ目・3つ目の選択肢を選ぶことが現実的となるでしょう。
中小規模の企業で2つ目の選択肢「より専門性を活かせる職場」という環境が整っていることは珍しいかも知れませんが、大企業やベンチャー企業ではこうした環境が既に整っているケースも少なくはないのです。
ただし3つ目の選択肢である「フリーランスになる」というのは、収入を安定させることは難しく、相応の技術力・営業力もなくては生活基盤を整えることも難しいことも多くあるということを認識しておく必要があります。
管理職になるメリット
管理職になりたくない、という方にとっても管理職になるメリットにはどのようなものがあるのか、気になるところではないでしょうか。
管理職になると受けられるメリットについてリストアップしましたので、見てみましょう。
- 年収UPになるケースが多い
- 転職を含めたキャリアプランの幅が広がる
- マネジメント能力が向上する
管理監督者となるため、休日出勤手当や残業代がでない企業が多くなることから、業務に対して報酬が見合わないと感じる方が多くいらっしゃいました。
もちろん全ての企業で必ずしも年収UPとならないケースもあります。
例えば今エンジニアとして働いているが、慢性的に人手不足で残業も多い・休日出勤もありで手当が多く稼ぐことができている方にとって、管理職となることはデメリットとなるケースもありますので、一概には言えません。
とはいえ管理監督者となる分、管理職手当がでる企業、基本給もアップする企業もあります。現状の管理職の業務量を垣間見て、自身がなった場合を想定して検討するのもありでしょう。
2つ目に上げたポイントは、将来的にみても大きなメリットとなる部分。
エンジニアが1つの企業に一生添い遂げる時代ではなくなっていることを考えると、「前職が管理職であった」という点は強みとなる部分でもあります。
同様に、3つ目のポイントであるマネジメント能力についても、管理職として従事することで身につくもの。一介のエンジニアでなく上級職(PMやPMO・コンサルタントなど)を目指す場合に大きく加点と判断される要素になるのです。
将来的な転職を踏まえると、管理職となっておくことはメリットが大きいと言えます。
管理職に向いている人・向かない人
管理職になることにメリットもある、とお伝えしましたが、向き不向きもあるということも忘れてはおけません。
管理職に向いている人には以下の特長があります。
- コミュニケーション能力が高い人
- リーダーシップがある・リーダーとして活躍するのが好きな人
- 人材育成が苦でない・好きな人
3つ全てに該当しないと管理職に向かない、ということではなく1,2つでも該当するのであれば、管理職に向いている可能性があります。
上記に全く当てはまらない方は、逆説的に管理職には向かない人と考えられるでしょう。
管理職ですから、どうしても人と人の間にトラブルや課題が生じたときに解消に向かわせる能力は必須です。
そのためにもコミュニケーション能力は高く求められるのが管理職。コミュニケーション能力がなく支配的なリーダーの元ではプロジェクトも円滑に進まないということを経験から理解されている方もいらっしゃるかも知れませんが、管理職には人と人のマネジメント、橋渡し的な動きができる人かどうかという素養も重要ではないでしょうか。
エンジニアはいつか管理職にならないといけないのか
ここまでお伝えしてきた通り、エンジニアは必ずしも管理職にならなくてはならない、ということはありません。
エンジニアとしてより専門性を高め、プロフェッショナルとした働き方で自分を磨く道もあります。
厳しくてもフリーランスとして働くことも選択できます。
ただし管理職はメリットがない、ということに関しては理解が得られていない部分もあり、ご自身の将来的な選択肢を広げる意味でメリットがあることもお伝えした通りですから、ご自身の将来について検討する際、考えてみていただきたいポイントです。
まとめ
管理職になると「現場仕事ができなくなる」ということや、企業によってはかえって年収ダウンになるような、業務量・業務内容に見合わない報酬であることがデメリットとなることもあるでしょう。
しかし、現場仕事をしながら管理職をしているプレイングマネージャーも多く存在しています。
もちろん、年収ダウンに繋がるような環境で管理職を目指すことはおすすめしません。
ですが将来のご自身の選択肢を広げられる、報酬もアップできる環境のある企業もあります。
管理職になるかならないか、ではなく、ご自身の思い描く未来像に必要な選択肢を選んでいただきたいのです。
開発現場でエンジニアとして働き専門性を高める、だから役職なんていらないというのも1つの選択ですし、専門性をもっと高めていきたいのに管理職になれと言われてしまうので自分を活かせる企業に転職するのも選択肢としてあるのです。
今後、エンジニアとして上級職を目指しているので、この条件で昇進できるなら管理職になってみようとチャレンジしてみることもいいでしょう。
管理職となるには適正も必要ですから、ご自身にとってプラスとできる選択を選んでください。
ただ一点、「会社から管理職にならないか」と声がかかった、ということは「会社は自分に対してその見込みがあると判断し評価している」ということ。
この点は揺るがない事実であり、誰にでも起こることではありません。
本当に自分がなりたいものはなにか、この後どう動くのが良いか、こちらでお伝えしてきた内容を踏まえてより良い選択をしていただければ幸いです。