2020年3月にヤマハ発動機、5月にライオンによる副業人材の募集からはじまり、現在多くの企業による副業解禁がはじまっています。特に、ライオンやヤフーなどの有名企業においては募集の十数倍の応募があるなど応募が殺到し、副業への注目が高まっていることが示されました。
本稿では副業のメリットとデメリット、そして今後の将来に関してご紹介します。是非参考にしてください。
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全員が副業をやりたいわけではない
政府により提示された働き方改革において副業が推進されたことをきっかけに、多くの企業が副業の導入を開始しました。副業には、自分らしく働くということや時間に縛られない働き方など多くのメリットが叫ばれています。
しかし、実際のところ副業を本当にやりたいと思っている人はどのぐらいいるのでしょうか。最も理想的な働き方は、本業を残業なしで行い、普通に生活できることです。
現状、副業に従事している人の多くは、本業の収入が厳しいため、副業で収入を補うという目的で始めているケースが少なくありません。収入が厳しい理由は多々あると思いますが、その一つの要因となっているのが、働き方改革により残業規制です。
ですが、本業で削減された残業時間を他社の副業に割り当ててしまうと、個人としては週の労働時間は変わらない、もしくは増えている人も多くなるでしょう。そうすると、働き方改革の意味をなさなくなるというデメリットがあります。そういった点を踏まえてみて、本当に副業をやりたいと思ってやっている人は少ないのが事実ではないでしょうか。
副業のメリット・デメリット( 個人編)
副業の実情についてご紹介してまいりましたが、個人にとってのメリット、デメリットとは何でしょうか。
メリット:収入が増える
副業の種類や労働時間により金額の大小はありますが、本業以外の収入が増えるというメリットはあります。そのため、本業で収入が減ってしまったり、給料遅配で収入を得られないなど、何かあったときのリスクヘッジになります。
メリット:スキルを習得できる
本業とは違う分野へ副業を通して挑戦することで、新たなスキルを得ることが可能です。例えばプログラミングや英語、デザイン関連のスキルなどが人気です。このように社会的ニーズが高いスキルを入手することで、本業のキャリアチェンジをするきっかけになる可能性もあります。
メリット:挑戦しやすい環境ができる
会社員である場合は定年があり、安定している限りは新しいことに挑戦することをリスクと考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、副業で稼ぎが安定してくると定年などのことに縛られず、自分がやりたいことをやろうと思ったり、新たなことに挑戦しやすい環境づくりが可能です。
デメリット:仕事のコントロールを自分で行わないといけない
副業の仕事時間を残業と捉えた場合、月間の勤務時間は自分でコントロールしなければなりません。副業を解禁している企業でも労働時間は自己申告制となっています。そのため、健康状態や疲労、心身の管理を含めて自分でのコントロールが必要となってきます。
デメリット:本業への負担やトラブルの可能性がある
副業を行う際に注意しなければ行けないのは、情報漏えいが意図せず起きないように機密保持を行うことです。その他に、生活時間のコントロールを誤って本業でのパフォーマンスが下がらないようにもする必要があります。
このように、副業を行うことにより様々なリスクが発生する可能性があります。そのためにも、本業でのルールの確認などを正確に行う必要があります。
デメリット:税金関連の手間がかかる
会社員であれば、年末調整などを会社が一括して行ってくれる場合も多いと思います。しかし、副業が発生した場合は収入額によりますが確定申告などを自分で行う必要が出てくる場合があるなど、金銭処理などの手間がかかる可能性があります。
副業のメリット・デメリット(企業編)
一方、企業にとっても副業はメリットだけではなく、デメリットもあります。
メリット:プロジェクト毎に人材を集められる
従来新たな案件やプロジェクトで人材が足りない場合は、派遣社員含めて雇用を行わなければいけませんでした。雇用のための費用や人件費など、様々なコストと時間をかけて必要なリソースを確保していたのです。しかし、副業が解禁されれば、雇用をしなくてもプロジェクトごとに副業時間を確保するだけで事が足ります。
メリット:イノベーションにつながる
社内の人材だけではどうしても人脈、知識、スキルなどが似通ってきてしまった結果、新たなイノベーションが生まれづらいという課題があります。しかし、副業を活用することで全く畑が違う人材を活用して新たな刺激を生むことができるため、新たなイノベーションが生まれる可能性が高まります。
デメリット:情報漏えい等のリスクが発生する
副業を解禁することにより、社内のスキルやナレッジが社員を通して漏洩する可能性があります。また、副業による疲労による本業のパフォーマンスが下がるといったリスクが発生する可能性が高くなります。
デメリット:労働管理が難しい
副業を解禁した場合においても、社員に対してある一定の労働管理は求められています。そのため、副業時間や副業内容の申請などが必要になりますが、自己申告制となるため企業側での社員の健康や労働環境の管理が難しくなります。
副業の活性化が引き起こしかねないリスク
副業が今後さらに活性化していくと、どのような将来が考えられるでしょうか。
先にご紹介したように、企業側からは副業を解禁することで社員を雇用する必要なく、プロジェクトなど必要に応じて人材を発注するだけでよくなります。
つまり、雇用形態は異なりますが、副業は実質的には「必要なときのみに使える人材確保のシステム」ともいえます。その結果、従来は外部委託または発注をしていた業務が、副業人材を活用して社内だけで完結することが可能になります。
一方、従来であれば発注を受けていた企業は案件がなくなってしまい、そこで業務を受けていた社員は仕事を失い、最終的には職を失う可能性も出てきます。
このように、副業が活性化していくことで、従来の本業を脅かす存在となる可能性があります。副業により新たな知識、ナレッジを加え、イノベーションを生むなどのメリットばかりが言われていますが、副業による雇用への影響などのリスクも考える必要があります。
今後どうすればいいのか?
今後副業を検討している方はどうすればいいのでしょうか?
ここでのおすすめは、副業をするならば本業とは関係ない領域で検討をすることです。自分がすでに持っている技術を活用するのではなく、新たな経験やスキルの取得を目指すことで、本業への影響を少なくすることができるでしょう。
全く違う領域だとしても、従来の経験や知識は活用・応用することができます。収入面でどうしてもという事情であれば本業のスキルを活かすことになるのはやむを得ないと思われますが、そうでない場合は本業でできないことや得られないものを目的に、本業の支えとしての副業を検討してみてはいかがでしょうか。