エンジニアのキャリアはどう考える? キャリアアップの鍵を握るポジティブ転職

転職というものにネガティブなイメージを持っているエンジニアの方も少なくないのではないでしょうか。ですが、昨今ではキャリアアップ・年収アップを叶えるために転職は必要なものとされるケースも多く、ポジティブ転職を考えるエンジニアも増えています。
また、ITエンジニアは高齢になるとできない職種とささやかれていることもあり、長く活躍できるように自分の市場価値を上げる転職を叶えることの重要性も見直されてきています。

ただ、エンジニアの転職は現在からの技術的なスキルアップ・キャリアアップを基準に考えられている方が少なくありません。この場合、明確な最終地点を視野に入れておらず途中でキャリアアップが難しくなるケースが見受けられます。

ここでは、あなたの市場価値を上げるために重要なキャリアプランを考えるために必要な情報と多様化するキャリアについて解説しながら、ITエンジニアのキャリア形成について知っておくべき情報をまとめてまいります。

エンジニアのキャリアアップルートの今と昔

以前は「PG→SE→PL→PM」とキャリアップをしていくのが一般的で、そこから先は元請け企業の役職者や、ITコンサルタントになるというキャリアアップルートが一般的と考えられていました。

ですが今は変わり、PG→SE→PL→PMのルートだけでなく、さらに細分化されたキャリアアップも一般的になりつつあります。中にはIT実務経験なしでITコンサル企業に就職し、ITコンサルタントとしてデビューするというケースもあったようです。

では、ITエンジニアにはどのようなキャリアがあるのか見ていきましょう。

エンジニアのキャリアの選択肢は幅広い

ITエンジニアのキャリアは昔よりも細分化され、いろいろなキャリアがあります。PGやSEを別とすると、上級キャリアとしては以下のようなポジションがあります。

技術スペシャリスト系エンジニア職

各技術に特化したスペシャリストとしてのエンジニア職には色々なものがありますが、その一部を簡単に紹介します。

  • サーバエンジニア・・・サーバ設計・構築・運用・保守などサーバサイドのアプリケーションに関連する部分を担うエンジニア
  • ネットワークエンジニア・・・ネットワーク設計・構築・運用・保守を担いサーバ同士をつなぐ部分を担うエンジニア
  • データベースエンジニア・・・効率よく大量のデータを保管・管理できるようデータベースを設計・運用・管理を行うエンジニア
  • セキュリティエンジニア・・・システム構築にあたり情報セキュリティ面に特化した対策がとれるよう運用・サイバー攻撃対策を担うエンジニア

そして上記の部門ごとのスペシャリストではなく、さらに活躍範囲を広げたスペシャリストとしてこのような職種があることもご紹介します。

テックリード(TL)やリードエンジニアと呼ばれる職種があり、技術的な経験と知識が豊富で、技術的にエンジニアチームをリードできる人材という立ち位置です。将来的にテックリードを経てCTO(最高技術責任者)に、というキャリアを実現されているケースもあります。
テックリードの業務内容は以下のようなものが挙げられます。

  • コードレビューでの各エンジニアへの適切なアドバイス
  • ソースコードのクオリティ管理・担保
  • チームの生産性向上のための対策・管理

上記のようにPLやPMではありませんが、各メンバーのサポートをメインにしながら技術的な支援とクオリティを担保する立ち位置にいるのがテックリードです。

ゼネラリスト系エンジニア職

これに該当するのは“フルスタックエンジニア”(マルチエンジニアと呼ばれることもあります)という職種です。あくまで通称で正式な職種ではないため、中にはフルスタックエンジニアの募集と掲載されることもあります。場合によってはこのような呼称では通じないシーンもあるかもしれません。
「ITエンジニアになるぞ!」と思ったときに、「この言語のスペシャリストになる!」と思う方よりも、「システム開発全般を把握したい!」という方に向いた職種でしょう。

IT関連中小企業の中には規模の小ささゆえ、自社システム開発時にはすでにこのような働き方をしているエンジニアの方もいらっしゃるかと思われます。
フルスタックエンジニアの業務内容は以下のようなものが挙げられます。

  • フロントエンド(アプリやWebサイトなどの画面処理)開発
  • バックエンド(フロントからの命令で動くサーバ処理)開発
  • インフラ設計・構築
  • 企画立案
  • データ分析(ユーザーのニーズを把握)

マネジメント系エンジニア職

システム開発の現場において、実際に手を動かすメンバーではなくメンバーのマネジメントを行うことを目的とするエンジニア職は以下のようなものがあります。

<PM(プロジェクトマネージャー)>
システム開発の現場における総責任者で進行管理や予算管理をしながら品質管理を担うエンジニアのことで、業務内容には以下のようなものが挙げられます。

  • 要件調整(エンドユーザーのニーズを引き出す)
  • 全体的なスケジュール管理
  • 人員調整
  • 予算管理

<VPoE(Vice President of Engineering)>
日本ではまだ一般的ではないかもしれませんが、VPoE(Vice President of Engineering)はエンジニアチームではなく組織のマネジメントを行う立ち位置にあります。
CTO(最高技術責任者)と混同されてしまうことも多いですが、エンジニア採用・組織体系編成などの人事的マネジメントが主な業務になります。
そのため他のエンジニア職よりも開発技術やスキルが求められることは少なく、エンジニアからのキャリアアップが望ましくはありますが、それも絶対的なものではありません。

<ITコンサルタント>
IT技術を用いて企業の抱える経営課題を洗い出し解決する方法を提案・管理するのがITコンサルタントです。
一般的なコンサルタントと違うのは、企業の課題解決を行う手段としてITを用いるか否か、という部分と認識しておくとわかりやすいのではないでしょうか。

あなたの会社はエンジニアのキャリアアップに誠実な会社ですか?

頻繁に転職を繰り返すより、1つの企業にとどまれるほうが良いと考えている方も多いようです。しかし、あなたの会社は本当にエンジニアにとって意義のある企業といえるのでしょうか?
日本にはたくさんのIT関連中小企業があり、その中には長い意味でエンジニアのためになる環境を整えられていない企業が存在しているのです。

仮に今いる企業での収入が実働に見合っていない、もしくはここまで賃上げされないのはいかがなものかと提言するエンジニアがでた場合、経営者側もエンジニア側も考えるべきポイントがそれぞれにあるのではないでしょうか。
経営者側には「社員に対し本当に誠実に向き合えているのか、給与アップにステップアップできる環境を用意できているか」というポイントが挙げられます。
エンジニア側には「どこの企業に行っても今より高い収入が本当に得られるレベルで実績と経験を詰めているのか」を今一度考える必要もあります。
キャリアアップ・年収アップのためにはそれに見合った経験と実績が必要であり、会社に対して「本当にここにいてキャリアアップ・年収アップはできるのか」を考える必要があるということを覚えておいてください。

特に中小規模のSES・SIer系では、本当の意味でのPM・PLもしくはそれ以上のポジションの仕事を請け負うことができない結果として、単価の安い案件・ポジションしか請け負えずキャリアアップにつながっていないケースもあるのです。

こういった情報を知っておかないと、自分のエンジニアとしてのキャリアアップ・年収アップができるかどうかに大きな違いが出てくることは言うまでもないでしょう。逆に、この事実を知らずに1企業にしがみついてしまうのは危険です。

終身雇用が当たり前ではなくなりつつある今、他社でも強みになるスキル・実績がないエンジニアが転職市場に出ざるをえなくなったとき、自分の立場を悪くしてしまうことになってしまいます。

ポジティブな転職とエンジニアとしてのキャリアプラン

会社について的確に判断し、自分が思い描く将来図に確実に近づいていくための転職は今やネガティブなものではありません。
最終目標はここ、到達時期は〇〇歳、そこまでに足りていないものはこれとこれで、足りない部分をいつ習得していくか、というキャリアプランを立てて日々行動すると、毎日の業務や現場の立ち居振る舞いにもポジティブな差異が増えてきます。
そのために必要なら転職をする、というのが今現在の年収を確実にアップし、自分の思い描く未来に向かっているエンジニアなのです。

年収をアップし活躍の幅を広げ、自分の価値を上げていく。

これを可能にするために自分の現状を把握した上で、足りないものを習得できる環境を探し転職する、最終的な目標に自分から近づいていくことができるエンジニアこそ、これからの時代を生き抜いていけるエンジニアなのです。

ポジティブ転職を叶えるキャリアプランニングに必要なものと考えるべきポイント

よほどの事情がなければ転職する際、わざわざ年収が下がるような条件で契約する方はいないはずです。年収を含めた待遇面を向上させたい、ということとキャリアアップしたいという希望があるからこその転職ではないでしょうか。

このようなポジティブな転職を実現するためには、技術や経験が必要不可欠であることは言うまでもありません。ですが、それだけではなく先ほどもお伝えしたようにキャリアプランをしっかり考えて行動に移すということも大切です。

最終的に何を目的としたいのかを考え、仮にそれが年収1000万以上を稼ぎたいからITコンサルタントと定めたとします。
まずはITコンサルタントになるためにはどのような経験と実績を積んでおくべきかリサーチします。そして、自身の現状を踏まえた上で足りていないものは何なのかをリストアップしてみましょう。
リストアップしたものを最終目標の到達時点から逆算して、いつの時点までに達成しておくのが良いかを計算して自身のキャリアプランを計画します。

色々な要素・要因がありますから、確実にそれが達成できるとは限らないものではあります。しかし、計画を作ることで最終目標を達成するために今の自分に足りていないものを習得するということを意識した行動がとれるようになります。

企業が人材流出を嘆く背景には、景気悪化だけでなくここでお伝えしたように「市場価値があるエンジニアほどスキルアップのための転職をする」ということがあります。将来的に自分の希望するポジションに着ける会社かどうか、それに見合った報酬が得られるのかどうかが彼らの見ている部分なのです。

他業種よりも転職が多いとも言われるITエンジニアですが、転職そのものをネガティブなものと認識させられてしまうことも多い日本で、本当に自分のためになる会社に籍を置くということはみなさんのエンジニア人生に大きなポイントになるということはご理解いただけたでしょうか。

本当に今の会社であなたのエンジニア人生は花開くのか、自分の目指したい立ち位置は何なのか、キャリアプランを計画することで見えてくるものも多いはずです。ポジティブ転職を含め、あなたという一人のエンジニアの人生を真摯に見つめなおす機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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