慢性的な人手不足を背景に、売り手市場が続いているITエンジニア業界。この波に乗ってキャリアアップをはかるべく、プログラミングスクールや動画学習サイトなどで新たなスキルを習得し、未経験エンジニアを目指す人が増加しています。
企業に評価される人材として転職市場を勝ち抜くためには、未経験であってもエンジニアとしての高いスキルをアピールし、ライバルと差別化をはかる必要があります。その際に役立つのが、ポートフォリオです。
ポートフォリオがあれば、エンジニアとして経験がなくとも適切に実力を評価してもらえるため、転職や案件獲得に有利に働きます。
この記事では、未経験エンジニアにとってのポートフォリオの必要性やその背景、具体的な作り方やアピール方法について詳しくご紹介します。
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Contents
未経験エンジニアに必要なポートフォリオとは?
転職活動において役立つポートフォリオとは、これまでの経験やスキル、実績をもとに作られた作品集のことを言います。あなたの持っている実力や能力を目に見える形で示し、高いスキルをアピールできるものです。
未経験者がエンジニア職に応募してきた場合、経験や実績がないため、採用担当者はあなたの実力がどの程度なのかを確認できません。そのため、ポートフォリオと言う形でスキルを見える化し、自らをプレゼンテーションする必要があるのです。
売り手市場と言われていてもポートフォリオは必須
「エンジニアって人手不足なんでしょ?ポートフォリオなんてなくてもいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれませんね。しかしそれは誤りです。
そもそもITエンジニアは技術職であり、実力至上主義の世界です。どれほど人材不足であっても、スキルの低い人は淘汰されていきます。逆に言えば、未経験であっても実力さえあれば、どんどん上を目指せるということでもあります。
ITエンジニアとしてこれから上を目指したいと考えるなら、完成度の高いポートフォリオを作成し、ライバル多き転職市場を勝ち抜く必要があるのです。
エンジニア経験者のポートフォリオは実績重視
エンジニア経験者が転職活動を行う場合、経歴や実績にプラスされる形でポートフォリオが評価されます。どのようなシステムに携わってきたか、どんな成果を出したか、どんなポジションに就いていたかなどの実績が重視される形です。
このため経験者は、新たにポートフォリオを作るというより、これまでの業務で培った成果物を提出する形にするとよいでしょう。たとえばGitHubの公開アカウントや技術ブログなどを自己PRとして記載しておくのです。
プライベートでも自己研鑽を続けていると示すことによって、過去の実績だけでなく業界・業務に対する高いポテンシャルを評価対象として扱ってもらえます。
エンジニア未経験者だからこそ必要なポートフォリオ
ポートフォリオは、エンジニア未経験者には特に重要な存在と言えます。
本来、転職活動において、経験や実績がない未経験者は経験者と比較して圧倒的に不利です。しかしポートフォリオがあれば、経験がなくても高いスキルを持ち即戦力になりうることをアピールでき、ライバルと差別化をはかれます。
未経験エンジニアは、プログラミング学習を通じて得た知見やこれまでの経験をフル活用して、他者と一線を画した質の高いポートフォリオを作成しましょう。
未経験エンジニアがポートフォリオを作成するメリット・デメリット
ポートフォリオがどれほど重要かを理解したところで、未経験エンジニアがポートフォリオを作成するメリット・デメリットについても見ていきましょう。
メリット
ポートフォリオを作成するメリットは、あなたの実力を採用担当者や転職希望企業へ丁寧に伝えられることにあります。
未経験エンジニアがポートフォリオを作るメリットとして、以下のことが挙げられます。
- 経験・実績がないことをカバーできる
- プログラミングスキルの高さや表現力を見える化する
- 即戦力であることをアピールできる
あなたがどれほど「プログラミングスキルを持っている」と言葉で伝えたところで、どのようなスキルを持っているのか、開発現場で役立つのか、どの程度のレベルなのかといった細かい内容までは伝わりません。しかしポートフォリオを提示できれば、言葉に表さなくても、あなたの持つ実力やスキル、意欲を明確にアピールできるのです。
デメリット
ポートフォリオを作ることのデメリットとして、以下のことが挙げられます。
- 自分の力で作成やWeb掲載を行わなければいけないため、時間や手間がかかる
- 間違いがあっても自分では気づきにくい
- 作成する人の能力やレベルによって完成度が異なる
エンジニアのポートフォリオには、これといったテンプレートがあるわけではありません。ゼロベースで作るためには構想や内容などの作り込みが必要になり、時間と手間がかかるのはデメリットと言えるでしょう。
未経験エンジニアのポートフォリオ【作り方】
それでは実際に、未経験エンジニアのポートフォリオの作り方を具体的に見ていきましょう。
作品の作成意図を明確に伝える
ポートフォリオは、「ただ何となく作ってみた」という出来では意味がありません。どのような目的があって作成した作品なのかを明確に伝えられるよう、構成や内容を工夫しましょう。
「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである」とはジェームス・W・ヤングの名著『アイデアのつくり方』の一節ですが、独創性の高いアイデアが豊富に詰まったポートフォリオは、見る人に向けて作成意図を明確に伝えます。新しいアイデアによって驚きや感動を提供できるポートフォリオは、転職市場で高く評価されることでしょう。
ソースコードは見られることを意識して作る
ポートフォリオとして採用するソースコードは、第三者に見られることを意識して丁寧に作ることも重要なポイントです。
具体的には、以下のような点に注意するとよいでしょう。
- インデントや体裁が整っているか
- ファイル名やクラス名、変数、関数名などが分かりやすいものになっているか
- コメントが適切に入れられているか
- 必要以上にネストしすぎていないか
- コードが冗長になっていないか
トレンドや需要にあっている内容か
IT業界のトレンドの変化は激しく、少し前に流行った技術があっという間に廃れていくこともあります。そのためポートフォリオには、時代のトレンドや需要をしっかりと観察し、将来にわたって「価値がある」と判断されるものを作成することが大切です。
全体的なデザインはもちろん、作品の見せ方やこだわりと時代のニーズをうまくマッチさせられれば、高い評価を得やすくなるでしょう。
最重要なのは自分自身の能力を理解してもらうこと
ポートフォリオのそもそもの目的は、自分のエンジニアとしての能力を見える形で示すことです。あなたの実力を最大限伝えられるポートフォリオを工夫しましょう。
誰もが「すごい!」と目を見張るような作品を作る必要はありません。これまで自分の中で進めてきた着実な学習成果や、興味のあることや分野、学習意欲やポテンシャルをポートフォリオとして仕上げることが大切です。
また自分の作ったシステムを実際に運用し、困った点などを改善した実績があると、課題解決能力などを評価されるかもしれません。
未経験エンジニアのポートフォリオ【具体的な内容】
ポートフォリオの作り方について理解できたところで、実際どのような内容が必要なのかを具体的に見ていきましょう。
自己紹介や経歴
ポートフォリオに必ず入れるべき内容は、あなたの自己紹介やこれまでの経歴です。伝えたいことは多くあるでしょうが、なるべく簡潔に分かりやすくまとめましょう。
このほか、あなたがいま興味を持っていることや趣味といった内容も加えておけば、面接の際の話のネタとして役立つかもしれません。
勉強してきたことや得意なスキル
自己紹介などの基本事項に加えて、ITエンジニアを目指して勉強した内容や得意なスキルも明記しておきましょう。
実際にエンジニアとして転職した際にどのような案件を任せられるか、採用担当者が判断する際の指標になります。
自主制作物(作品)
あなたが自分の力で制作した作品を掲載しましょう。作品に入れるべき内容は、以下のようなものです。
- 画像やURL
- 使用言語やツール
- 制作のためにかかった期間
- 機能の説明や紹介
未経験エンジニアのポートフォリオ【注意点】
これまでポートフォリオの作り方や具体的な内容について見てきましたが、ここでポートフォリオに関する注意点も見ておきましょう。
自分の作品として公開して問題ないか
当然のことながら、公序良俗に反した内容はポートフォリオとして不適切です。またコンテンツには著作権が発生するため、自分の作品として公開することに問題がないかをあらかじめ確認しておきましょう。
これらはいわゆるITリテラシーの範疇であり、ITエンジニアを目指すのであれば「当たり前」と判断される内容です。「社会人として不適格」と判断されることになるので、とくに気を付けましょう。
独自性がある内容になっているか
ポートフォリオとして公開する作品は、オリジナリティのある独自の内容でなければなりません。
どこかで見たようなコンテンツ、ありきたりの内容で採用担当者の目を引くのは難しく、ライバルとの差別化が難しくなります。
実力が正しく伝わる内容になっているか
ポートフォリオの内容は、あなたの実力が正確に伝わる内容になっていなければなりません。
転職の際に使用するものということで必要以上に背伸びをしてしまうと、実力を過大評価されてしまうことになり、転職後の自分の首を絞めることにもつながります。
未経験者として積極的に学習に取り組み、ゼロから作り上げたという成果を正直にアピールしましょう。
テンプレートをそのまま使っていないか
「ポートフォリオを作りたいけど、作り方が分からないし手間がかかる・・・」と悩んだ結果、フリーのテンプレートなどを利用してポートフォリオを作成するという人もいるでしょう。
テンプレートを使用すること自体は問題ありませんが、テンプレートをそのまま流用した独自性の低いポートフォリオでは、あなたの能力を適切に評価されない可能性があります。
昨今では未経験エンジニアの採用枠が拡大していることから、採用担当者は数多くのポートフォリオを見て採用を判断しています。目の肥えた採用担当者にとって、テンプレートそのままのポートフォリオでは魅力が低いのです。
テンプレートをベースに作成したとしても、あなた独自のオリジナリティを発揮したポートフォリオに整えて提出することが大切です。
未経験だからこそポートフォリオで差をつける
転職市場で採用担当者の目に留まるのは、即戦力になる人材です。IT人材不足を背景にエンジニア求人数は増加傾向にありますが、異業種からの転職者も急増しているため求人倍率は高い状態で推移しています。
未経験エンジニアには実務経験がないため、履歴書や職務経歴書だけでは書類選考に通過するのも難しいでしょう。そこで強みとなるのが、ポートフォリオです。
ポートフォリオは、ライバルとあなたを差別化し、履歴書や経歴書より雄弁にあなたの実力を語る強力な武器です。ポートフォリオの見せ方ひとつで、採用担当者の心を大きく動かし、転職を成功に導く可能性があります。
またポートフォリオによって、あなたの持つプログラミングスキルはもちろん、ITエンジニアに必要とされる企画力や論理的思考、問題解決能力などもアピールできます。幅広いジャンルの作品を掲載することで、学習意欲やポテンシャルの高さも表現できるでしょう。
未経験でもポートフォリオを活用してエンジニアを目指そう!
実績や経験がない未経験エンジニアであっても、転職活動でポートフォリオを活用することによって、経験者を相手にしても戦えるようになります。あなたのスキルや実力を適切にアピールするため、積極的にポートフォリオを活用しましょう。
ポートフォリオを作成する過程によって学ぶことも多く、あなたのエンジニアとしてのキャリアの第一歩としても役立つはずです。
IT人材不足のなか、企業は即戦力を求めています。ポートフォリオによって「未経験ながら即戦力になりうる」という可能性を提示することで担当者の目を惹き付け、採用を勝ち取りましょう。