AI搭載ロボットのニュースを聞くことが増えてきていませんか。現在は発表当時と状況が変化してきていますが、2014年にオックスフォード大学の「将来なくなる仕事」の発表で世界に衝撃を与えました。論文発表のようにすでに人が行っていた仕事を機械が担いはじめており、その影響はITエンジニアにも出始めています。本稿ではAI搭載ロボットの現状とエンジニアの将来に関してご紹介します。ぜひ参考にしてください。
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ロボットが人間の仕事を奪うのか?
近年、AI搭載のロボットの導入・開発のニュースを聞くことが増えているかと思います。
・カフェチェーン「プロント」がパスタ調理ロボットを開発
タブレットからオーダーが入ると自動でロボットが調理を行います。また、使い終わった食器の洗い物といった異なる作業もできるなど、キッチンを任せられるように制作されているようです。
・洋菓子製造会社ユーハイムがAIを利用した無人バウムクーヘンオーブンを開発
職人が焼いた生地をAIが画像診断させることにより、自動で職人と同じ食感や焼き色が再現できます。職人スタッフが付きっ切りで焼き具合を確認する必要がなくなり、一定の品質も確保しつつスタッフの手が空けられるようになります。
・焼肉の和民 配膳ロボットを導入し、無人配膳を可能に
居酒屋から焼肉に業態を変更した和民は、特急レーンや配膳ロボットを導入し無人配膳を目指しています。スタッフの人数を削減し、効率的な店舗運営が可能になります。
このように、調理や接客など従来人が対応していたような作業の多くを、今後AIやロボットが担っていける導入・開発が始まっています。その結果、人間がやっていた仕事は将来的に減っていくと思われます。
各企業が自動化を進めていくのは、労働人口が減少していく上で、効果・効率を上げていくために求められると考えられます。例えば、AIやロボットの場合は一度教えれば再教育が必要ないため、担当者の退職や交代などに伴う再教育コストが掛かりません。
機械が担える仕事、人間にしかできない仕事
このように、従来人間が担ってきた仕事を機械が取って代わりはじめています。しかし、すべての仕事を機械が担えるわけではありません。ここで機械、特にそこで重要な意味を成すAIが担える仕事についてご説明します。
AIは大量のデータ処理や、特定のルール、法則に従う作業を得意としていますが、逆に新しいものを生み出す力はないに等しいのが特徴です。そのため、ルールが決まっている中での作業や淡々とした作業はAIが担える分野です。例えば、RPAによる業務効率化、顔認証や今までの買い物傾向に基づいたサジェスチョンなどがあります。
しかし、一方でデータとして認識出来ないもの、ルールが曖昧なもの、判断条件が一定ではないことへの判別には向いていません。
例えば、接客の時に顧客の感情の機微や機嫌の良い悪いなどに適した対応ができません。その他にも、データにはない新たなメニューを作ったり、ケースバイケースが頻発するクレーム対応など人との直接対応ができないというのが現状です。
このようなことを受けて、ルールを形成できる作業はAIに任せ、新しいものを生み出すことや個別の判断が必要なことを人間がやるという風に棲み分けていくのが将来の姿と予測されます。
ITエンジニアもAIとの分業は無縁ではない
AIと人の共存はエンジニアにも大きく関係してきます。プログラミングは仕様を実現するために論理的に作成するものであり、AIの得意とする「法則に則った作業」からあまりかけ離れていません。実際にGeneXusなど一部のプログラム自動生成システムの開発、利用も進んでいます。このようなシステムでは、必要な項目を定義すればプログラムとデータベースの生成が可能であり、従来のプログラミング業務の簡略化はすでに始まっています。
このようにAIを活用した自動生成はいくつかのアプローチがありますが、最も実用化に近いのは入力・出力の例をいくつか示してプログラムの合成を行なう方法です。まだ粗いながらもアウトプットの生成も可能になってきており、将来的にはAIがプログラムを自動生成する可能性も高いと考えられます。
ここで、プログラムを自動生成できるシステムの現状を見てみましょう。
プログラムの自動生成システム
GeneXus
Webアプリ、モバイルアプリ、TV、ウェアラブルアプリなど、あらゆる種類のアプリケーションを提供に活用されているローコード開発システムです。8700社以上での利用実績があります。業務内容を記述するだけでデータベース、プログラムが自動生成されます。その結果、開発コストの削減や生産性向上に繋がります。
Jtest
Jtestとは、Javaソースコードの品質可視化と単体テストの効率化を支援する自動化ツールです。AIが1000個以上のコーディング規約を元にソースコードを静的に解析します。ソースコードの問題点やエラーを発見することにより、迅速に問題点へ対応することが出来ます。
Sketch 2 Code
Sketch 2 Codeは、Microsoft AI Labが開発しているサービスです。手書きでワイヤーフレームをアップロードすると、AIが画像とテキストの位置を認識し自動でHTMLをレイアウトしてくれるものです。まだレイアウトが完璧でないため、実用レベルには達していません。
pix2code
Pix2codeは、デザイナーが作成したWebサイトのモックアップやiOS、AndroidアプリのGUI画像から自動的にコードが生成されるシステムです。深層学習で画像、HTMLを学習させることでコードが自動生成されます。まだ教師データは簡単なものしかないため、ペライチのWEBサイトなど簡単なものしか対応出来ないようです。
GPT-3
GPT-3は、Generative Pretrained Transformerの略であり、短い命令からニュース記事の文章やソースコード、デザインなどを生成してくれます。例えば、「Googleのトップベージのようなデザインのソースが欲しい」と命令するとGoogleとほぼ見た目が同じデザインとソースコードが十数秒で再現されます。また、同じようにWebパーツのデザイン・生成、音楽の作曲(ギターのタブ譜の生成)、検索エンジンの作成などのプログラミングにも対応できます。まだ公開はされておらず、一部のテスターに公開されている状態ですが、今後実用がより進んでいくと考えられます。
将来的にプログラム作成は業務が減っていく
今後、AIによるプログラム自動生成技術が発展していき、より実用化が進んでいくと考えられます。その結果、エンジニアがプログラミング自体に関わる業務が減っていくことが予想されます。
そうなった際は、エンジニアはAIにプログラム作成の指示や設計、システムが稼働する環境の準備、ユーザー企業との要件定義など、より上位の工程に注力する事となるでしょう。
今後、ITエンジニアは自身がAI開発に携わることがなくても、自身の開発業務にAIが影響することに備えておく必要があるでしょう。まだ現在のシステムは対応できる範囲は狭いですが、今後技術革新を進めていけば、よりAIが対応できる業務が増えてくると考えられます。
AIは今後の動向を追っておく必要があるのは間違いなく、技術革新によってはエンジニアのキャリア変更も余儀なくされることも考えられます。ITエンジニアは今後発展していく技術の知識を高めてAIの開発側を目指したり、より専門性の高い技術を習得してAIに取って変わられないITエンジニアへキャリア転職を進めることがおすすめです。
まずは最新技術にアンテナを高めてはいかがでしょうか。