プログラマーに転職したいけど、転職した場合どれくらい給料がもらえるのか、というのは大変気になるところだと思います。
当然ながら年齢による年収差はあるにしても、プログラミング言語によって年収に差があるのであれば、稼げる言語を勉強した方がいいのでは、という考えもあるでしょう。
そこで、プログラマーの平均年収と、言語別年収について調べてみました。
Contents
「プログラマー」の平均年収は?
厚生労働省が2018年に調査した結果によると、プログラマーの平均年収は約420万円で、平均年齢は32.3歳です。2018年末の国税庁データによると、給与所得者の平均年収が441万円で、平均年齢は46.4歳です。ざっくり見るとだいたい平均年収くらい?という印象になるかと思います。
技術職ということで、もっと年収が高いイメージがあると思いますが、プログラマーはステップアップしてシステムエンジニアになるケースが多いのと、経験の浅い新入社員も含まれているため平均年収としては低めに出ています。もちろんスペシャリストとしてのプログラマーになると、年収は平均値より高い傾向となります。
プログラミング言語別平均年収は?
それでは、プログラミング言語別の平均年収はどれくらいでしょうか?
2017年のデータになってしまいますが、求人検索エンジン「スタンバイ」の調査結果によると、平均年収ランキングは以下のようになっています。
(2017年時点での求人数が100件未満の言語は除外されているので注意してください)
技術関係のサイトではよく話題になるIEEEの人気開発言語ランキングには出てこない言語が上位に入っています。そちらの説明も含めつつ上位の言語を見ていきたいと思います。
人気開発言語ランキングについてはこちらの記事で紹介しています。
1位:Scala(626万円)
Scalaは、Javaのようなオブジェクト指向言語と関数型言語のいいとこ取りをしたハイブリッド言語です。Javaと同様、JVM(Java仮想マシン)上で動かし、Javaのライブラリを使用することができるため、効率的に開発ができると言われています。
人気開発言語ランキングに出てこないのは、求人数が多くないためと思われますが、Javaとの親和性が高いことから、今後の動向が気になる言語です。
2位:Python(601万円)
人気開発言語ランキング1位のPythonは、平均年収でも2位となっています。
機械学習(AI)の分野でよく使用されるため、需要が高い割に使える技術者がまだ少ないため、平均年収は高くなっています。
3位:Kotlin(577万円)
こちらも人気開発言語ランキングには出てきていませんが、Android アプリを開発する際の基本言語となっています。
Scala同様、JVM(Java仮想マシン)上で動かし、Javaのライブラリを使用することができるため、注目されていますが、Android アプリの言語としてはJavaも使用可能なためか、ピンポイントでの求人数は多くないようです。
4位:Swift(562万円)
人気開発言語ランキングでは9位の、iOS アプリを開発する際の基本言語です。
3位のKotlinもですが、スマートフォンのアプリ開発言語の平均年収が高い傾向にあるようです。
4位:Ruby(562万円)
多くのプログラミング言語が海外製であるのに対して、Rubyは日本人が開発したプログラミング言語です。
プログラミング的思考法の基礎を子供向け絵本にした「ルビィのぼうけん」のルビィはこの言語にちなんだ名前です。作者はフィンランド人なので、世界中で使われている言語と言えます。
人気開発言語ランキングには出てきませんが、日本での需要はまだ高いです。
6位:Java(552万円)
人気開発言語ランキング2位のJavaは、平均年収では圧倒的上位ではありませんが、これは他の言語と比べて開発範囲が多岐にわたるため、下流工程のみを行っているプログラマーや、経験の少ない新入社員が含まれているためと思われます。
「中央値」で見る年収の高いプログラミング言語
先ほどは「平均年収」で見ましたが、次は「中央値」で見てみたいと思います。
「平均」だと、突出した年収の求人があった場合、求人が少なければ少ないほど影響が大きくなります。「中央値」の場合は、純粋に全データの真ん中で算出するので、分布の状況によっては「平均」より実態に即した形になります。
こちらも求人検索エンジン「スタンバイ」の調査結果になりますが、データは2018年のものとなります。求人数が200件未満の言語は除外されています。
1位:Go(600万円)
2017年時点では求人数が100件未満で集計から除外されていたGo言語ですが、1年で求人数も伸び、中央値で1位となりました。
Googleが2009年に公開した比較的新しい言語のため、需要に対する供給が足りていないと思われます。
2位:Scala(600万円)
平均年収でも1位のScalaは、Goと同一年収ですが、求人の少なさから2位になっています。
3位:Python(575.1万円)
平均年収は2位でしたが、上位2つと比べると求人数は4~5倍ほど多くなっています。
4位:Kotlin(575万円)
ほぼ平均年収と変わりない値が出ています。求人数は上位3つと比べると少ないです。
5位:TypeScript(575万円)
マイクロソフトにより開発、メンテナンスされているフリーでオープンソースのプログラミング言語になります。人気開発言語ランキング6位のJavaScriptに静的型を導入した言語で、JavaScriptのプログラムがそのまま使えるというメリットがあります。
Kotlinと同じ中央値ですが、求人数の少なさから5位となっています。
結局、どの言語が稼げるの?
プログラミング言語による「平均」「中央値」のランキングを見ると、どちらも上位に来ている言語が稼げそうに見えます。しかし、上位の言語が簡単に稼げるかというと、そういうわけではありません。
その理由を以下に挙げます。
(1)求人数が少なめ
2020年1月現在、2018年と比べ求人数はどれも増えており、中央値ランキング上位の言語は軒並み2000~5000件の求人となっていますが、Pythonは約3万件と圧倒的な差がついています。また、中央値ランキングに入っていないJavaは約13万件で、PythonとJavaの間にも4倍以上の差があります。
(2)高いスキルを要求される
ScalaやKotlinのようにJVMがベースとなっている言語は、Javaの知識がある程度必要になりますし、Go言語は新しい言語のため、習得するための教本や情報がまだまだ少ない状況です。TypeScriptもJavaScriptの習得が前提となっています。
つまり、上位の言語は「希少性が高い」ために年収が高くなる傾向にありますが、習得するためには高いスキルを要求されるということです。プログラミング未経験者歓迎の求人に入ってくることは無いと思った方がいいでしょう。
まとめると、
「プログラマーの経験があり、年収を上げたい人」…希少性が高い言語
「プログラマー未経験で平均より高い年収がほしい人」…求人が多く平均が高い言語
というように、人により「稼げる言語」は異なるということです。
なお、たくさんのプログラミング言語が出ている現在、言語の流行や衰退といったことは必ず出てくるため、プログラマーには複数の言語を身につけることを推奨している企業もあります。
1つの言語だけでプログラマーを続けていくよりは、汎用性の高い言語を身につけてからそれをベースに他の言語も習得していき、年収アップを目指す、という働き方もあると思います。
おわりに
IT業界は現在、売り手市場となっており、求人が多くなっています。その中で、できるだけ高い年収が得られるところを探すことは当然だと思います。
プログラマーとして自分の持つスキルと求人数のバランスを考え、最適な「稼げる言語」を探してみてはいかがでしょうか。