ITエンジニアとしてキャリアアップやスキルアップを狙っている人は、大手SIerへの転職を検討している人も多いと思います。
この記事では、いわゆる大手SIerと呼ばれる企業の売上や平均年収の実態、転職を考えた際の選び方などについて詳しく解説します。
ITエンジニアとしてSIerへの転職を考えている方は、どのような企業があるのかという理解を深めるとともに、日常的に情報収集を行って情報感度を高めていくことが大切です。
この記事では、大手ISerの企業ランキングを売り上げや平均年収など別にご紹介します。大手SIerの魅力も解説しますので転職を考えている方はご参考ください。
■□■□プログラマーなどITエンジニアを目指しているならIT業界専門転職サイト「Javaキャリ」が最適!完全無料の会員登録はこちらから■□■□
Contents
そもそもSIerとは何か?
まず初めに、そもそもSIerとは何か、どんな種類があるか、将来性について見ていきましょう。
SIerの定義とは
SIer(エスアイヤー)とは、システムインテグレーター(System Integrator)を略した言葉であり、クライアントの要望に応じてシステム開発や運用、コンサルティングなどの業務を一貫して請け負う企業のことを言います。分かりやすく言えば、「システム開発に関する業務をまるごと請け負うIT企業」ということです。
ITシステムを受託したSIerは、下請け企業や子会社などへ業務を委託するのが一般的です。受託先には規模の小さいSIer企業やSES会社などがあり、二次請け、三次請けといった形で多重下請け構造になっている例も少なくありません。このため、一次請け負いができるSIerは、元請け企業として「ITベンダー」「システムベンダー」と呼ばれることもあります。
SIerの種類
ひとくちにSIerといっても、その種類はさまざまです。ここでは、5種類のSIerについて詳しく見ていきましょう。
ユーザー系SIer
ユーザー系SIerは、親企業の情報システム部が独立し、子会社や関連会社化した企業です。親会社との関係が深く、社名に親会社名の一部が入っているところもあります。
経営基盤が安定しており、親会社から定期的に仕事を受注できるのが特徴です。クライアントの一次受け企業として単価が高くなり、全体として年収も高い傾向があります。
メーカー系SIer
メーカー系SIerは、パソコンなどのハードウェアの製造を行なっている、いわゆるメーカーのソフトウェア開発部門、およびシステム開発部門が独立した企業を言います。
経営基盤の安定しているメーカーの特徴を生かし、自社製品と組み合わせたソリューションを提供したり、インフラ機器をシステムと一緒に提案できることが強みです。
独立系SIer
独立系SIerは、これまでご紹介したユーザー系、メーカー系のSIerとは異なり、システム開発を目的として設立された企業です。このため親会社の制約に縛られることがなく、自由なアイデアや提案、顧客ニーズに寄り添ってシステム開発を行えるというメリットがあります。
一方で、ユーザー系やメーカー系と比べると知名度が低く、親会社がいないため経営基盤が安定していないのはデメリットと言えるでしょう。
コンサル系SIer
コンサル系SIerは、クライアント企業の業務内容を詳細に分析して経営課題を探し出し、ITなどを活用した最適な手法でシステム設計や開発を引き受ける企業です。
コンサルティング系企業がクライアントの要望に応える形で支援領域をデジタル分野へ広げたような形になっており、業務の中心はコンサルティング業務になります。このため、システム開発より前の段階の、提案や要件定義といった上流工程から始まる傾向があります。
外資系SIer
外資系Slerは、海外に拠点を置くグローバル企業の日本法人として事業展開を行っている企業です。年功序列制度などがない実力主義な社風のところが多く、給与水準が高いのが魅力と言えるでしょう。ただし、働きながら高い成果を出し続ける必要があります。
外資系は業務がハードで忙しいイメージがありますが、世界のトップを走るグローバル企業だけあって、たとえばリモートワークやハイブリッドワークが選べたり、就業時間を自由に設定できる、有給休暇を取りやすいといった、個人の裁量による自由な働き方が可能です。
SIerの将来性
次に、SIerの将来性についても見ていきましょう。
SIerの需要は年々高まっており、今後もまだまだ成長していくと考えられています。システムエンジニアとして大規模システムの開発実績を経験できれば、キャリアアップにもつながるでしょう。
一方で、近年「SIerには将来性がない」という声も聞かれるようになりました。その大きな理由として挙げられるのは、クラウドの普及です。
近年のクラウド技術の進化に伴い、SaaSやIaaS、PaaSなどのクラウドサービスを活用することで、誰でも簡単にインフラ環境の構築やノーコード・ローコード開発が可能になりました。従来のようにゼロベースからのスクラッチ開発は不要となり、SIer不要論が出ているのです。生成AIによって簡単なプログラムを組むことが容易になった点も、SIer不要論に追い打ちをかけています。
とはいえ、スクラッチ開発の需要がまったく無くなったわけではありません。むしろ、誰でも簡単にコードを組める時代だからこそ、大規模システム開発のノウハウや技術が重要になりつつあります。このためSIerの必要性と将来性は、今後さらに高まっていくことでしょう。
これからIT企業に就職を考得ている就活生にとっても、大手SIerは魅力ある選択肢になるでしょう。新卒で内定を得られれば、あなたのキャリアにとってプラスとなるはずです。
大手SIer売上げランキング
SIerの種類や大まかな概要が分かったところで、大手SIer企業の売上をランキング形式で見ていきましょう。
次のデータは「業界動向サーチ」が公開している、IT業界 売上高ランキング(2021-2022年)です。
順位 | 企業名 | SIerの種類 | 売上高(億円) |
---|---|---|---|
1位 | 富士通 | メーカー系 | 30,354 |
2位 | NEC | メーカー系 | 30,140 |
3位 | NTTデータ | ユーザー系 | 25,519 |
4位 | 日立製作所 | メーカー系 | 19,883 |
5位 | 野村総合研究所 | コンサル系 | 5,688 |
6位 | 大塚商会 | 独立系 | 5,236 |
7位 | 伊藤忠テクノソリューションズ | ユーザー系 | 5,223 |
8位 | TIS | 独立系 | 4,825 |
9位 | SCSK | 独立系 | 4,141 |
10位 | BIPROGY | 独立系 | 3,167 |
誰もが一度は耳にしたことがある有名企業が並んでいるのではないでしょうか。
1位の富士通は、何と言ってもスーパーコンピューター「富岳」をはじめとした高性能なサーバー製品を提供できるのが強みです。2位のNECは、金融業や製造・流通業などに対するSI事業とサーバーやネットワーク製品との組み合わせによって、高い売り上げを維持しています。また3位のNTTデータは、主に官公庁システムなどを中心とした事業を展開しており、今や国内屈指のITサービスベンダーとしての地位を獲得しています。
4位以降も、名だたるSIer企業が続いています。それぞれの企業に強みや特徴があるので、興味のあるSIer企業があれば、掘り下げて研究してみましょう。
大手SIer年収ランキング
次に、大手のSIer企業の平均年収ランキングも見てみましょう。
次のデータは「業界動向サーチ」が公開している、IT業界平均年収ランキング(2021-2022年)です。
順位 | 企業名 | SIerの種類 | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|
1位 | 野村総合研究所 | コンサル系 | 1,232 |
2位 | 三菱総合研究所 | ユーザー系 | 1,111 |
3位 | SRAホールディングス | 独立系 | 1,080 |
4位 | 電通国際情報サービス | ユーザー系 | 1,057 |
5位 | AIinside | 独立系 | 1,013 |
6位 | Kudan | – | 969 |
7位 | オービック | 独立系 | 959 |
8位 | GMOペイメントゲートウェイ | – | 955 |
9位 | 伊藤忠テクノソリューションズ | ユーザー系 | 941 |
10位 | CAC Holdings | ユーザー系 | 938 |
売上高ランキングとは違った顔ぶれの企業がランキングに現れています。これには、売上高だけでなく利益率が関係しています。
利益率が高ければ、少ない売上高でも多くの利益に繋がり、その分が従業員に還元されます。これにより「利益率が高い企業=年収が高い」という構図が出来上がり、平均年収も高くなるのです。
転職する際の選び方
SIer企業に転職する際には、どのようなことに気を付けて選べばよいのでしょうか。ここでは、SIerへ転職する際の選び方について見ていきましょう。
どの種類かを選ぶ
これまでにご説明したとおり、SIer企業はさまざまな種類があり、それぞれ業務内容や企業文化などが異なります。
ユーザー系やメーカー系は、経営基盤が安定していますが、業務内容によってはスキルアップにつながらないかもしれません。独立系は案件の幅が広く、さまざまなスキルを習得できるかもしれませんが、経営基盤がやや不安定なことがあります。
このように、どの種類のSIerにもメリットとデメリットがあるため、これまでのITエンジニアとしての経験を活かし、キャリアアップを測れるのはどの種類のSIerかを比較し、見極めることが大切です。
どの条件を優先させるかを考える
転職活動をする人によって、希望する条件や重視したいポイントが違います。このため、自分がどの条件を重視しており、優先させたいかと言うことを明確にしておきましょう。
検討すべき条件は、以下のようなものがあります。
- 年収
- 環境(働きやすさ)
- 企業の規模
- 将来性
年収は高いに越したことはありませんが、その場合は残業が多かったり、休日にも稼働しなければならない可能性があります。例えば「残業が少なく、休みをスキルアップに使いたい!」と考えるなら、年収よりも環境(働きやすさ)が高い企業を優先させたほうがいいかもしれません。
このように自分の将来とキャリアを見据えて条件を順位付けをしておくと、転職に迷った際にも判断しやすくなるでしょう。
また、企業規模だけを考えるのではなく、大手から中堅まで範囲を広げて希望の条件を満たす企業を見つけると選択肢が増えるでしょう。
情報収集をする
転職するSIerの種類と優先すべき条件が決まったら、情報収集を行って転職先候補の企業研究を行いましょう。企業の公式Webサイトや就活サイト、SNSや口コミなどを確認したり、業界紙や企業情報を掲載している書籍をチェックするのがおすすめです。
また面接の際には離職率や在籍年数、平均残業時間や繁忙期の残業時間、有給の消化率などを確認しておくと、ホワイト企業か、おおよその状態がみえてきます。
企業研究の精度を高めることによって、志望動機や志望企業の絞り込みができる可能性があります。
必要に応じて転職エージェントなども活用しましょう。転職エージェントの担当者は、企業への転職に関する専門的なノウハウを持っているため、選考や面接の際に役立つ有益な情報を得られます。
SIerのキャリアパスとは?
最後に、SIerのキャリアパスについても見ていきましょう。SIerのキャリアパスには、プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタント、フルスタックエンジニア、営業などがあります。
PM(プロジェクトマネージャー)
プロジェクトマネージャー(PM)は、SIerで受注するプロジェクトの予算やスケジュール管理を行う責任者です。プロジェクトを円滑に進めるための幅広い業務に従事するため、仕事内容は多岐にわたります。
責任は非常に重いものの、そのぶん収入は高い傾向があります。最新の求人統計データによると、プロジェクトマネージャーの平均年収は641万円となっています。
参考:プロジェクトマネージャーの仕事の年収・時給・給料|求人ボックス給料ナビ
PMを目指す目安としては、ITエンジニア経験が10年程度です。さまざまな現場経験やスキルを積み、次のステップへキャリアアップしたい人が目指す職種と言えるでしょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、ヒアリングによってクライアント企業の状況分析などを行ったうえで、課題を解決するためにIT機器やツールの中から最適なものを選び、提案・導入する仕事です。
クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力やヒアリング力、同時にITに関する幅広い知識が求められます。このため年収も高い傾向があり、求人統計データによると、平均年収は644万円となっています。
参考:ITコンサルタントの仕事の年収・時給・給料|求人ボックス給料ナビ
ITエンジニアとしての専門性だけでなくコンサル領域にも関心のある人、高いコミュニケーションスキルと技術スキルをどちらも活用したキャリアを築きたい人におすすめです。
フルスタックエンジニア
ITエンジニアとしてのスキルをより高いレベルまで突き詰めたいと考えるのであれば、フルスタックエンジニアになるというキャリアパスもあります。
フルスタックエンジニアとは、アプリケーションやWebといった専門分野だけでなく、インフラやネットワーク、デザインなど、システム開発のあらゆる業務をこなせるエンジニアのことです。
専門性の高いスキルが必要となることから年収も高い傾向があり、平均年収は500万~700万円程度となっています。
営業
コミュニケーションスキルを活かして働きたいと考えるのであれば、SIer営業というキャリアパスも考えられます。ITの専門的な知識からクライアントの課題解決に導くIT製品を提案する職種です。
メーカー系SIerであれば、クライアントの課題解決のために自社製品を提案することで、売上に貢献できます。最新の製品情報を技術面からカバーできれば、クライアントのあらゆる課題に対して対応でき、高い信頼を勝ち取ることができるでしょう。
大手SIerへの転職なら日頃の情報収集は欠かせない
大手SIerへの転職は条件も高く、転職するには難しい場合もあります。しかし、元請けという立場でシステム開発に携われる経験は何事にも代えがたく、ITエンジニアとして高いキャリアを築くために役立つことでしょう。給料が増えない、スキルアップできないことに不満を抱えている場合は、大手SIer企業への転職を目指してみてはいかがでしょうか。
SIer企業を目指した転職活動では情報収集を怠らず、企業で任される業務内容が自身のスキルや経験とマッチしているか、将来のキャリアアップに繋がるかを考えることが大切です。
得に未経験から大手SIerへの転職は、非常に難しいかもしれません。これまでの経験やスキルが活かせるIT企業への転職を考えた方がIT業界へのキャリアチェンジできる可能性は高まります。まずは、IT業界特化の転職エージェントに相談してみるといいでしょう。
もし、大手SIerへの転職を検討されていたり、お勤めの企業がSIer以外でSIerへの転職を考えているという場合は、IT業界専門の転職支援サービス「Javaキャリ」を活用ください。たとえば、求人情報は自分で見て応募したいという人であれば転職サイトをご利用いただき、お目に叶う優良企業を見つけてください。Javaキャリの転職サイトは経歴情報を入力すれば企業側からスカウトも届きます。また、SIerへの転職は初めてで不安がある、転職活動をする時間があまりないと言った方は、Javaキャリの転職エージェントサービスをご利用ください。キャリアアドバイザーが詳しくヒアリングをしてくれて、あなたにベストな求人情報を探してくれます。また、履歴書や経歴書の応募書類の添削も転職エージェントが対応してくれますので、転職が初めての人や、効率よく進めたい人におすすめです。
貴方の目的にそって、2つのサービスを使い分けて、転職活動を効率的に進めていただき、内定を勝ち取ってください。