深刻なIT人材不足を背景に、需要の高まっているエンジニア業界。なかでも在宅プログラマーは、特に人気の高い働き方です。
新型コロナ禍の外出自粛を受け、大手企業などはオフィス規模を縮小して在宅ワークへ切り替える動きが多く見られました。また、「働き方改革」が推進された結果、フリーランスや兼業・副業で働く人が急増しました。
一方で、AI分野を筆頭にIT需要が高まるなかでプログラマーを確保できないと悩む企業は多く、優秀な人材をフリーランスや在宅プログラマーとして確保しようとする動きが強まっています。
今後さらにニーズの高まりが予想される在宅プログラマーとは、どのような仕事なのでしょうか。この記事では、在宅プログラマーの仕事内容や年収について詳しく解説します。
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Contents
在宅OKの求人が増えている背景とは
在宅OKの求人が増加している社会的背景には、少子高齢化による労働人口の減少、慢性的な人手不足があります。総務省の公表する「情報通信白書令和4年版」によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年のピークを境界として減少の一途をたどり、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると予想されています。
とりわけ中小企業の人材不足は深刻になっており、優秀な人材を奪い合って労働力を確保することも難しくなる可能性があります。
これに加え、政府は働き方改革として「仕事と生活の調和が実現した社会」の実現を目指しており、多様な働き方を選択できる仕組みづくりが進められています。
このような背景のなかにあって、個人がライフステージに応じてストレスなく働けるあり方は多くの人に受け入れられているのです。
在宅でできる仕事の種類と仕事内容は
在宅ワークとして働ける仕事の代表的な例として、Webアプリケーション開発とスマホアプリケーション開発をご紹介します。
Webアプリケーション開発
Webアプリケーションとはその名の通り、Webブラウザ上で動作するアプリケーションのことを指し、WebアプリケーションエンジニアはたとえばInstagramなどのSNS、AmazonなどのECサイトやサービス、ブラウザ上で遊べるソーシャルゲームなどの開発を行います。
使用する言語は主にJavaScriptやTypeScript、Java、PHP、Python、Rubyなどです。
スマホアプリケーション開発
スマートフォンにインストールして使用するアプリケーション開発も在宅ワークとして人気です。対象となるデバイスは、iPhoneやiPadなどのApple製端末で動作するiOS、ならびにAndroid端末で動作するAndroidなどになります。
iOSアプリの場合には、「XCode」と呼ばれる統合開発環境を使用し、言語はSwiftおよびObjective-Cのいずれかを利用して開発を行います。Androidアプリの場合は、統合開発環境に「AndroidStudio」を使用し、言語はKotlinやJavaを利用するのが一般的です。
在宅プログラマーの働き方とは
ひとくちに在宅プログラマーと言っても、働き方もさまざまです。会社員に属してリモートワークとして在宅で働く場合、フリーランスとして業務委託で働く場合の働き方を見ていきます。
会社員プログラマー
会社に属していながら、在宅ワークとして働くのが会社員プログラマーです。働く場所が在宅というだけで、あくまでも会社員という立場であり、就業時間や就業規則は会社のルールに縛られるため、フリーランスほどの自由度はありません。
「通勤がない」というストレスから解放され、あるいは会社に近い都市部に居住する必要がないため、QOL(Quality of life=生活の質)の高い働き方として人気があります。
フリーランスプログラマー
個人事業主として会社に属さずに働くのがフリーランスプログラマーです。基本的に業務委託という形で契約し、期限までに成果物を納品する形で進めます。
プログラマーとしてのスキルがあり、スケジュール管理さえしっかりできていれば、いつ、どこで働いても基本的に自由。一方で、自力で営業して案件を獲得する必要があったり、健康保険や年金関係の手続き、確定申告などの財務処理が必要になります。
在宅プログラマーの年収はどれくらい
実際に在宅プログラマーとして働いた場合、どのくらいの年収が見込めるのか見ていきましょう。
「レバテックフリーランス」の試算によると、一般的なプログラマーの平均年収は425万8000円となっています。
会社員プログラマーの場合、一般的なプログラマーと同程度の年収を考えるとよいでしょう。年齢や勤続年数、マネジメント経験や専門性の高いスキルや資格を持っている場合には、さらに高い年収が見込めます。
一方フリーランスエンジニアの場合、クライアントとの間に会社が入らないので中間マージンを取られることがないため、一般プログラマーや会社員プログラマーより高い年収が見込めます。ただし、経費や交通費などもすべて含まれた金額になるため、額面だけを見て「高いからいい!」と一概に言えるものでもなく、注意が必要です。
在宅プログラマーに必要なスキル、経験
在宅プログラマーとして働くために、必要となるスキルをご紹介します。
プログラミングのスキル
プログラミングができなければプログラマーとは言えないので、実践レベルで使えるスキルの習得が不可欠になります。複数のプログラミング言語を使いこなせるほどプログラマーとしての価値は高いですが、未経験の場合にはプログラミング言語を一つ決定し、集中して習得するとよいでしょう。
営業力・コミュニケーションのスキル
フリーランスエンジニアの場合、案件を自力で獲得しなければ仕事がありません。そのため、自力で案件を獲得できる営業力とコミュニケーション力が必要です。どれほどスキルが高くても営業力がなければ仕事にはありつけませんから、フリーランスにとってはある意味で最も重要な能力と言えます。
スケジュール管理能力
在宅で働くうえでネックになるのが、時間も含めたスケジュールの管理です。自宅というプライベート空間で働くため緊張感がなくなり、スケジュールを適切に管理できなくなる人も少なくありません。オン・オフの切り替えをしっかりと行い、自分を律してスケジュールを管理できる能力が必要です。
在宅プログラマーが習得しておくといいプログラム言語
在宅プログラマーが習得しておくべきプログラミング言語としておススメなのは、下記の3つです。
- PHP
- Ruby
- JavaScript
PHPとRubyは、現在も導入している企業が多い人気の言語です。とくにPHPは、世界中で人気のCMS「WordPress」で使用されている言語のため、フリーランスとして転向したばかりでも案件獲得がしやすいことからも習得しておくと案件の幅が広がります。
JavaScriptはWebアプリを作るうえで必須言語でもありますし、フロントエンドエンジニアを想定しているなら、Vueなどのトレンドのフレームワークでも必要となりますので、習得しておいて損はないでしょう。
在宅プログラマーのメリット・デメリット
人気の在宅プログラマーですが、実際に働いてみると当然ながらメリットとデメリットがあります。
在宅プログラマーのメリット
- 仕事をする場所や服装などに制限が少ない
- 通勤のストレスから解放される
- 職場の人間関係などからもある程度解放される
- 育児や介護などとも両立がしやすい
仕事をする場所や服装などに制限が少ない
これまではオフィスで仕事をしなくてはならなかったので、服装にも注意していましたよね。また、周囲の音が耳に入ってきますので集中しずらい環境だったという人も少なく無いと思います。しかし、在宅ワークであれば仕事に集中することも可能ですし、服装もあまり気にしなくてもいいでしょう。
通勤のストレスから解放される
通勤がないことは大きなメリットだと言えるでしょう。都心では満員電車にギュウギュウに押し込まれているという人も少なくないでしょう。また、通勤時間も無いことから、時間を有効に活用し、勉強する時間に当てたり、ゆっくりと朝食をとったりすることができます。
在宅プログラマーのデメリット
- 在宅環境を自分で整備する必要がある
- 問題が発生した場合の解決が一人では難しい場合がある
- スケジュールや品質管理がすべて自己責任になる
- 誰ともコミュニケーションを取らず孤独に感じることがある
在宅プログラマー求人や案件の探し方
リモートワークが一般化したこともあり、在宅ワーカーと企業をマッチングするサービスが増えました。このようなサービスに登録することで案件に応募できるようになり、比較的簡単に案件を獲得できます。
フリーランスプログラマー
リモートワークが一般化したこともあり、フリーランスの在宅ワーカーと企業をマッチングするサービスが増えました。このようなサービスに登録することで案件に応募できるようになり、比較的簡単に案件を獲得できます。
また、フリーランスの場合は、案件とのマッチングをしてくれるようような人材紹介会社が急増しており、以前とは比較にならないほど、容易に案件を探せるようになってきました。ただし、フリーランスに転向するエンジニアや、在宅ワーカーを希望するエンジニアが急増しており、案件獲得の競争も激化してきていますので、注意が必要です。
会社員プログラマー
フルリモートOKといった在宅ワークを選択できる企業が増えています。そのため、転職サイトの多くは検索条件に「在宅ワーク可」が追加されています。どこの企業も中途採用が難しくなっており、エンジニアの多くが希望する在宅ワークを取り入れている企業が増えています。
フルリモートで働ける求人を転職サイトで探しやすくなっていますし、転職エージェントに相談すれば在宅ワークできる求人のみに絞って紹介していもらうことができます。また、転職エージェントから在宅ワークの注意点などのポイントも聞くことができるでしょう。
地方在住の方にとっては、地場のIT企業が限られていることもあり、これまでは選択肢が非常に少なかったという課題がありましたが、今ではフルリモートで働ける東京の求人も探せますので、転職先の範囲が大きく広がるでしょう。
在宅プログラマーの将来性とは
我が国は深刻なIT人材不足の中にあり、経済産業省の試算によると、2030年の段階で最大約79万人の人材が不足するとされています。
このような状況のなか、優秀なエンジニアを獲得しようという企業の動きはさらに活発になることが予想されるため、在宅プログラマーの将来性は高いと言えるでしょう。
ただし、フリーランスとして働くのであれば、向き不向きがありますから自分自身の適正を把握し、働き方を選択するようにしましょう。
レバテックキャリアが発表した「ITエンジニアのリモートワーク事情調査」では、現在リモートワークをしているエンジニアは71.7%という高い水準の結果でした。しかし、今後の働き方として、リモートワークを希望するエンジニアは全体の68.3%という結果で、昨年は85.7%の人がリモートワークを希望していたことから考えると、リモートワーク希望のエンジニアが減少傾向であることがわかります。
このまま在宅ワーカーが増え続ければ、エンジニアにとっての「会社」という概念が変わってくるかもしれません。既に終身雇用は終焉したという意見もありますが、これからエンジニアの働き方は大きく変化していくと予想されています。
参考:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
参考:レバテックキャリア「ITエンジニアのリモートワーク事情調査」
まとめ
在宅プログラマーは、自宅というプライベート空間での勤務になるため、セルフコントロールによってタスクやスケジュールを厳密に管理するよう努めなければなりません。
また、コミュニケーションが取りづらい環境下になるため、自ら意思表示をしたり情報発信をする努力も必要になったりと、気を付けるべき点がたくさんあります。
一方で、数ある在宅ワークの中でもプログラマーの年収は高水準であり、時間をある程度自由にできる点はメリットと言えるでしょう。フリーランスの在宅プログラマーとして活躍できるようになれば、年収を大幅にアップできるのも魅力です。在宅プログラマーに向いているという人は、ぜひチャレンジしてみてください!