近年、プログラミングの知識がない人でも業務アプリや基幹システムが構築できるノーコード・ローコード開発に注目が集まっています。これまでシステム開発にコストを割いてこなかった事業会社や中小企業も開発に着手するなど、環境が変わりつつあります。
ノーコード・ローコード開発が普及している中で、プログラマーは将来不要になるといった見解もあり、現在プログラマーとして働いている方やプログラマーを目指している方の中には不安を感じている方も多いと思いでしょう。
では実際にノーコード・ローコード開発の普及により、プログラマーやIT業界はどう変化していくのでしょうか。この記事では、ノーコード・ローコード開発の現状と将来性や、これからのエンジニアに求められるスキルについて解説します。
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Contents
ノーコード・ローコード開発とは?
ノーコード開発とは
プログラミング言語でソースコードを書くことなくアプリを開発する手法です。今までは、アプリを開発するにはプログラミング言語を使ってソースコードを書かなければならず、専門的な知識とスキルが必要でした。しかしノーコード開発では、画面上に表示されているパーツを組み合わせて値の設定などを行えば、専門的なスキルに乏しくてもアプリを開発することが可能です。
ローコード開発とは
ノーコード開発を基本としながら、細かい箇所でソースコードを書く開発手法です。ノーコード開発よりもプログラミング言語についてのスキルは必要にはなりますが、ノーコードと比較すると、より細かいカスタマイズができるという利点もあります。
ノーコード・ローコードが加速するわけとは
ノーコード・ローコード開発は、プログラミングスキルがなくても開発できる手法として、近年注目が集まっています。それではなぜ、ノーコード・ローコード開発が加速しているのでしょうか。
ノーコード・ローコード開発が加速している理由として、以下のことが考えられます。
- 高度なスキルがなくても開発ができる
- コストを抑えられる
- 開発や運用が属人化しづらい
ノーコード・ローコード開発の魅力は、高度なプログラミングスキルがなくてもアプリが開発できる、という点にあります。これによって、ITに特化した部署がなくても業務アプリを簡単に内製化でき、開発の手間やコストを抑えることができます。業務効率を上げたいけど、わざわざアプリ開発を外注するにはコストがかかる…といった場合でも、部署内で業務アプリを開発できてしまいます。
ノーコード・ローコードの市場の現在と将来
ノーコード・ローコード開発の市場規模は年々拡大しています。「ITR」の調査によれば、ノーコード・ローコード開発市場の2020年度の売り上げは515億8,000万円で、前年度比24.3%増となっています。また、以降も市場規模は拡大傾向にあり、2023年度には1,000億円を超え、2025年には1,500億円を超える見通しとなっています。
参考:株式会社アイ・ティ・アール「2020年度のローコード/ノーコード開発市場は500億円規模に拡大」
世界的に見てもノーコード・ローコード開発の市場規模は拡大し続けており、今後も高い将来性が期待されています。ノーコード・ローコード開発がIT業界の中心になる日も遠くはないかもしれません。
また、ノーコード開発について、更に詳しく知りたい場合は「ノーコード(NOCODE)開発とは?ITエンジニアに将来はあるのか!」をご覧ください。
ノーコード・ローコード開発によりプログラマーは不要になる?
専門的なプログラミングスキルがなくても開発ができるということは、プログラミングスキルの需要が下がってしまう、ということでもあります。それでは、ノーコード・ローコード開発が普及することでプログラマーは不要になってしまうのでしょうか?
結論から言えば、ノーコード・ローコード開発が普及したとしてもプログラマーが完全に不要になるとは考えにくいでしょう。しかし、スキルに乏しいプログラマーにとっては厳しい時代になることも予想されています。
プログラマーがなくならない理由
ノーコード・ローコード開発が普及してもプログラマーがなくならないのは、複雑な機能要件があるアプリや大規模なアプリの開発には、まだノーコード・ローコード開発では対応できないからです。複雑で高度なアプリを開発するためには、プログラミング言語を用いてソースコードを書かなければなりません。
専門的なスキルを持ったエンジニアがいないと、障害に対応できなかったり、セキュリティリスクが高くなってしまったりといった問題点もあります。安全に開発・運用を実施するには、一定の専門的なスキルが求められます。
不要になってしまうプログラマーとは
しかし一方で、エンジニアの人手不足は解消されて売り手市場は落ち着くのではないか、という見方もあります。ノーコード・ローコード開発の普及によって厳しくなってしまうのはやはり、技術力に乏しいプログラマーです。
単純なプログラミングしかできなかったりインフラ周りの知識がなかったりと、技術力に不安があるプログラマーも多いでしょう。ノーコード・ローコード開発の普及によって、そうした技術力に乏しいプログラマーの市場価値は相対的に下がってしまうかもしれません。
プログラマーが不要になりつつあるジャンル例
ノーコード・ローコード開発の普及に伴い、以下の3つのジャンルについてはプログラマーが不要になりつつあります。
- ECサイト
- ホームページ制作
- 小規模な業務システム
それぞれの現状について、詳しく解説します。
ECサイト
「Shopify」や「BASE」といったノーコード開発ツールによって、小規模なECサイトであれば簡単に開発できるようになりつつあります。基本的な機能を備えた簡単なECサイトであれば、プログラマーでなくても開発が可能です。
大規模なECサイトに関して、はプログラマーのスキルが必要になる場面が多い、というのが現状です。複雑な処理が実装できるプログラマーにはまだまだ活躍の機会があるでしょう。
ホームページ制作
企業のコーポレートサイトなどのホームページも、最近ではノーコードでの開発が可能です。「STUDIO」や「Webflow」などのツールを使えば、豊富なテンプレートを使用してクオリティの高いホームページが作れるようになっており、プログラマーの需要は下がっています。
小規模な業務システム
小規模な業務システムも、ノーコード・ローコードでの開発が進んでいます。十数人規模の部署内で利用する程度の業務アプリであれば、わざわざプログラマーに依頼して開発しなくても、「Google AppSheet」や「Microsoft Power Apps」などで簡単に開発できます。
大規模な業務システムの開発では、やはりプログラマーのスキルが必要とされています。大規模案件に携わった経験があれば、ノーコード・ローコード開発が普及しても活躍の機会があるはずです。
これからのエンジニアに求められるスキル
それでは、ノーコード・ローコード開発が普及する昨今、エンジニアにはどのようなスキルが求められるのでしょうか。
ノーコード・ローコード開発はたしかに便利ではありますが、まだ大規模なアプリ開発や複雑な機能要件のあるアプリ開発までは対応しきれていません。そのため、これからのエンジニアにまず求められるのは、大規模アプリの開発経験や、複雑な処理の実装スキルでしょう。単純なコーディングやプログラミングだけでなく、難易度の高い処理も実装できるエンジニア、大規模アプリの企画・設計や実装ができるエンジニアが求められています。
ノーコード・ローコード開発が普及している以上、ノーコード・ローコードツール自体を開発できるエンジニアの存在も必要です。ノーコード・ローコードツールを使いこなせることはもちろん、ツールそのものを開発できるだけのスキルが身につけられれば、エンジニアとしての市場価値を高めることができるでしょう。
これからの時代に市場価値の高いエンジニアになるためには、複雑な処理の実装や、ツールそのものの開発ができるだけの高度なスキルが求められます。もちろんプログラミング以外にも、インフラ周りの知識や企画・マネジメントの知識を身につけるなど、活躍の幅を広げることも大切です。いずれにしても、これまでのスキルで満足せず、新しい技術にチャレンジしていく姿勢が求められています。
まとめ
ノーコード・ローコード開発が増えることにより、一部のプログラマーの需要は下がってしまうかもしれませんが、プログラマーの仕事が完全になくなることはありません。しかし、プログラマーのキャリアパスにある程度の影響が出ることは確かです。
最近では「リスキリング」というワードが注目を集めています。プログラマーにも、これからの時代に合わせたリスキリングが求められています。DXを進めるためにも、これまでのプログラマー像から脱却し、高度で幅広いスキルを備えたエンジニアを目指しましょう。