リモートワークを取り入れていた企業も、コロナ禍の落ち着きに伴い出社型に戻るケースが急増しています。
求人情報を見るとフルリモート勤務はまだ少数で、大手IT企業でもハイブリッドワークにとどまるケースが多く見受けられます。
今の状況をみると日本では『リモートワークで生産性が落ちてしまった』という話も耳に入ってきますが、あながち間違いとは言えないのかもしれません。
とはいえIT人材不足による経験者の中途採用は年々難しくなってきており、一部のベンチャー企業などでは地方在住エンジニアをフルリモート勤務で募集している求人も増えていることは事実です。
今後、『地方在住でフルリモートの東京の企業に勤務する』という働き方は、ニューノーマルとして根付いていくのでしょうか?東京から地方移住し、フルリモートで勤務するという働き方は一般的になっていくのでしょうか。
今後のエンジニアとしての身の振り方を考える為にも、当記事では、地方在住でフルリモート東京勤務という働き方の実態について解説します。
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Contents
地方からテレワークという働き方を選択できるようになった背景
働き方改革により、住む場所で働く場所が縛られない働き方、ということでテレワークが注目され始めたところで、昨今の新型コロナ禍によりテレワークの導入が急速にすすみ、今では一般的な働き方の1つとして普及しました。
内閣府の調査によれば2021年4,5月の時点で東京23区内の企業に務める人の2人に1人はテレワークをしている、というデータもでました。
テレワークを急ピッチで進めたことでメリットもデメリットも浮彫となった企業も多かったものの、IT企業においてはテレワークでも問題なく進められたことで今後テレワークを常態化させる、というケースもあります。
IT企業はパソコンさえあれば、開発できる環境を準備できるということもあって、テレワークとの親和性が高く、成果を数値として捉えやすいことからも生産性をあまり下げずのテレワークを実現できるため、他業種と比較してもテレワーク導入率が高いのです。
こうした時代的背景とあわせ、地方創生を掲げる政、『移住者に最大100万円支給する』という移住支援金の配布対象を拡大するなどの動きもテレワークで地方に住まい、都心の企業に属す働き方が事実上推奨される形となったことが背景にあります。
フルリモートワークを導入するIT企業は増えているのか?
転職サイトや求人サイトを見てみると、プログラマー・WEBデザイナー・SEといったIT人材のフルリモート案件は多数掲載されています。
また求人を詳細に見てみると、正社員としての求人だけでなく、フリーランス、派遣といった形での求人数が増えていることも気になるポイントです。
ただし今後もフルリモートでIT人材を募集するIT企業が増加していく一方なのか、ということに関しては少々疑念を持たざるを得ません。
なぜかというと、現状フルリモートであっても今後ハイブリッド勤務を取り入れていく方向で動きたい企業もあれば、これまでのように出社をメインにしたいと考える企業も多くはないものの存在しているからです。
とはいえ、都内を中心にIT人材は深刻なまでの人材不足の状況にあり、IT企業が集中している都内においては地方にいながら自社に属して働いてくれる人材は喉から手がでるほど欲しい存在であるのも明らか。
こうした状況もあり、増加、というよりも今後も地方在住のIT人材のフルリモート中途採用求人は無くならないと推測できます。
IT企業やプログラマーはテレワークと相性がいい
万全のセキュリティ対策が施されたパソコンとネットワーク環境があれば、IT企業やプログラマー、システムエンジニアといった職種はある程度以上の業務を遂行することが可能です。
IT企業でエンジニアは在宅ワークを推奨しながら、経理・営業といった部署では出社しているケースもありますが、テレワークと相性の良い職種・業種ですから今後もテレワークを継続していくことに大きな支障はないでしょう。
また、テレワークとITエンジニアの相性について、更に詳しく知りたい場合は「浸透したテレワークとITエンジニアの働き方との相性とは?」をご覧ください。
日本でもテレワークは生産性を損なわず実現可能なのか?
テレワーク二より生産性を損なわない為の企業努力、管理を実施している企業も多くあります。
とはいえ、そうした対策が万全とは言えない企業においては生産性の低下があったということでテレワークを廃止する動きもあるのは確かです。
がんじがらめに管理してしまうと、在宅ワークの方がエンジニアにとって働きずらい環境となり、従業員とのエンゲージメント・モチベーションが低下してしまう事にもなりかねません。
難しい部分ではありますが、テレワークにより大きく生産性が損なわれることがないよう、どのように業務推進していくか検討することも重要でしょう。
地方からフルリモートで都内IT企業に勤めるメリット・デメリットとは
地方に移住、もしくは地方在住者が都内IT企業に属することにどのようなメリット・デメリットがあるのか見てみましょう。
地方からフルリモートワークでIT企業に属すメリット
まずは地方に移住・在住しながらフルリモートで都内IT企業に属するメリットとして、以下が挙げられます。
QOLが向上する
単純に移住し地方勤務となると、様々なメリットと引き換えに「給与水準が落ちる」というデメリットをセットで受け入れざるを得ません。
ですがフルリモートで都心企業勤務であれば、給与水準は他の地方より高い都心水準で、地方在住のメリットを享受できます。
また自然が豊かな環境は子育てしやすく子育て世帯にとっては特にメリットも大きいでしょう。
出勤時のタイムロス・ストレスから開放される
フルリモートで出勤する時間は必要なくなり、移動のストレスが無くなります。
物価・住宅費が削減できる
地方は都心と比べ、土地も安く賃料も安くなりますから、住宅購入にしても賃貸にしても住宅費は大きく抑えることが可能です。
また物価も安く食費の削減もでき、生活にかかる費用の変化は大きいでしょう。
職場での人間関係に悩まされにくい
もちろんインターネットを介して職場の人とのやり取りはあります。ですが実際に常に顔をあわせる環境ではありませんから、悪く言えば無駄な付き合いは極端に減ります。
中には人間関係が希薄になりすぎるのを懸念し、あえて業務上のやり取りではない雑談を取り入れる企業もありますが、無駄に人間関係のストレスに悩まされるといった事態は避けやすくなるでしょう。
地方からフルリモートワークでIT企業に属すデメリット
メリットも多いフルリモートワークですが、デメリットについても見ておきましょう。
地方在住だと公共交通機関が都心ほど充実していない
車生活が一般的な地方への移住は、車がない世帯では厳しい局面もあります。
都心のように数分毎に電車がくる、ということはなく30分に1本、時間帯によっては1時間に1本かないということもざらです。
また今のようにガソリンが急騰する時代においては、車生活では生活にかかる負担も増えざるを得ません。
都心ほど身近にお出かけスポット・娯楽施設がない
アクティブに休日を楽しみたい、というかたにとって自然は豊かでも地方在住は物足りなさを感じてしまうこともあるでしょう。
都心部よりも人間関係が密な地域もある
地方では場所にもよりますが、ご近所づきあいは都心よりもかなり密になることもあります。
こうした付き合いを面倒だ、と感じる方にとっては地方移住がデメリットと感じられてしまうでしょう。
教育に関する選択肢が限られてしまう
子育て世帯にとっては都心ほど選択肢がないことは、デメリットになりやすいかも知れません。
特に親元を離れて生活できるほど大きくない、中高生にとって選択肢が少ないことが子どもにとって負担になることもあるでしょう。
IT人材の地方移住は進むのか?地方在住東京勤務は進むのか?
IT関連エンジニアの地方移住が今後も増えるのか、これに関しては正直個人の考え方に依存するためなんとも言えない部分もあります。
とはいえ、新型コロナ禍による意識の変化を調査した結果によると「働き方が選べるようになったので、地方移住に興味がある、したいと考えている」と回答する人が増えたというデータがあるのは事実です。
東京から地方に移住してテレワークする、という方は既にテレワークを導入している企業に勤めていることも多く、給与水準も東京在住時点と大きく変わることはないでしょう。
また、IT人材が地方に移住し地方企業に属す、ということにも興味を持つケースが増えており、これは前者とはまた異なるポイントがある点に注意が必要です。
後者は属すのも地方企業となりますから、いざ何かあって出社となる場合も楽である、というメリットはありますが給与水準も東京の企業とは異なり、下がってしまうことも多いもの。
生活にかかるコストが抑えられる地方在住であっても、得られるものも下がるということも想定しておかなくてはなりません。
地方から東京の仕事の探し方
地方に在住しているIT人材が、東京のIT企業への就職を希望する場合の仕事の探し方は以下の方法があります。
- 転職サイトを活用する
- 転職エージェントを利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
転職サイトを活用する
転職サイトから、自分の希望にあう求人を探す方法は、多くの方がすぐに思いつく方法ではないでしょうか。
自分のペースで気になる求人を探すことができるので、「いいところがあったら」と考える方にはベストな方法とも思えるかもしれません。
多くの転職サイトでフルリモート案件が多数紹介されていますから、フルリモートの求人でどのようなものがあるか把握するためにも見ておくのは良いでしょう。
転職エージェントを利用する
先の方法よりも、本記事ではこちらをおすすめします。
なぜかというと、転職エージェントサービスを利用することで転職が有利に、希望に近い条件での転職が叶いやすいから。
というのも転職エージェントは、エージェントと求人を出している企業間で様々な情報が交換されています。
企業が本当に欲しているのはどういった人材なのか、職場の環境はどんなか、など詳細な情報を持っているため、求職者が希望する条件に近い企業を紹介してくれます。
紹介するだけでなく、その企業に気に入られやすい資料作成のポイントなども教えてくれますので、自分だけで転職活動をするよりもスムーズに提示資料を準備できます。
また就職条件の交渉や、面談などにも同席してサポートしてくれますのでより希望に近い条件での転職を実現できるのです。
フルリモートワークで躓かないための3つのポイント
リモートワークは自由なようで、「コロナうつ」という言葉も生まれるなど、精神面で影響を受けてしまうこともあります。
またインターネットを介してのコミュニケーションとなるため、他のメンバーとの関係が希薄になりすぎ、サポートが受けられなくなってしまうことも。
そこでフルリモートで勤務する際に注意しておいていただきたいポイントについてまとめましたので、ご覧ください。
コミュニケーションは積極的にとる
2020年にAdobe(コンピュータ・ソフト会社)がが行った「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」から、日本においては「以前よりコミュニケーションがとりにくい」と感じているケースが多いことがわかりました。
同調査をアメリカで行ったものは、上記の回答は14%だったものの、日本では3倍を超える55%という結果に。
日本は世界と比較しても対面でのコミュニケーションに固執する傾向がある、ということがここから伺えます。
また先にお伝えした「コロナうつ」でも、「自分は一人なんだ・仲間がいない」ということで孤独を訴えるケースが急増しており、出社時以上にコミュニケーションの質が重要になっているということがポイントです。
参考:ADOBE「アドビ、グローバル調査「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」を発表」
オンオフの切り替えを明確にしておく
家で仕事をすることで、時間外の考え方、会社内での捉えられ方があいまいになっていることで、逆に勤務時間が長くなってしまっているケースもあります。
こうした状況は、仕事中の緊張状態と、休息中のリラックス状態の切り替えもうまくいかず、自律神経に異常をきたしてしまうケースもふえているのだそうで、自分の中でオン・オフをしっかり切り分けることが重要です。
自己管理を徹底する
風邪を引いたら会社には行けない、という今のご時世ですがリモートワークだと風邪を引いても仕事ができてしまいます。
無理をすることで悪化させてしまうことにもなりますから、体調管理はしっかりとしておきましょう。
それとあわせ、業務スケジュールの管理も出社時以上に自己管理を徹底することが、生産性を落とさないためには必須です。
出社していても同じではありますが、リモートワークでつい気がゆるんでしまう、という方も少なくはないでしょうから、注意しておきましょう。
地方移住でなく地方在住で東京の会社に勤めるという選択肢はアリ?
地方在住の方が東京のIT企業にフルリモートで属す、という働き方はアリです。
地方在住のメリットを活かし、都内企業に勤務するメリットも享受できるこの働き方はQOL向上効果も高いもの。
今までは都内の企業だから都内に通える範囲で住環境を整える、というのが一般的でしたが、リモートワークを導入する企業は一定数以上あります。
特に既に地方に在住していて、在住地にはIT企業が少なく、選択肢があまりないという人にとっては、東京など首都圏の企業にリモートワークで転職できるという選択肢が増えたことは、とても大きな可能性になっていると言えるでしょう。
ただし今フルリモートが可能な企業でも、出社に切り替わる、週に2,3日でも出社してほしいと方針転換することはないとは言い切れません。
まとめ
コロナ禍以前と比較すると、働き方は大きく変わったことは間違いありません。
IT企業はテレワークとの相性が良く、現在も導入しているケースは多いのです。
地方在住で東京勤務という働き方の選択肢が増えたことは、様々な課題、例えば、給与格差、求人格差を解決する1つのあり方です。
忘れてはいけないのは、フルリモート勤務を実施する上では、企業がそのための環境整備を今後も進めていかなくては行けないということ。
フルリモートでも働きやすい環境を整備することで、地方在住で東京勤務という働き方を実現しているのです。
出社型ではなくフルリモート勤務の場合、今まで以上に個人のパフォーマンスを冷静に判断される評価制度になっていくものと考えられます。
終身雇用からJOB型が加速する中、フルリモートワークで評価される人材になることがIT人材、エンジニアのキャリアパスの1つの答えとなるのかもしれません。