数多く存在しているプログラミング言語、その時代や技術的な背景からプログラミング言語の人気は常に変化しています。
既に10年前、20年前とはランキングも大きく変わり、新たなプログラミング言語がトレンドとなったりしています。
また、webサイト、スマホアプリ、業務システムなどの種類によっても利用するプログラミング言語は異なってきます。
習得するプログラミング言語によって今後のキャリアパスが変わってきます。
もし、未経験者がこれからプログラミング言語を習得しようと思っているなら、どの言語を選択するかが非常に重要です。
これからプログラマーを目指す未経験者・初心者が学ぶべきプログラミング言語はなにか、様々な角度からのランキングを分析しますので、ご参考ください。
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人気プログラミング言語ランキング
ソフトウェア開発者にフォーカスしているアナリスト企業であるアメリカのRedMonkは、2022年第一四半期のプログラミング言語ランキングを公開しています。
ランキングの基準は、Githubで使用されているコードとStack Overflowにおける議論に基づいて作成されています。
気になるランキングは以下のようになっています。
順位 | プログラミング言語 | 特徴 |
---|---|---|
1位 | JavaScript | Web開発で使用する言語、習得難易度は低め、 動きのあるWebサイトが作れる |
2位 | Python | AI開発や機械学習に使用される、文法がシンプル 習得難易度は低め |
3位 | Java | 業務システムやWeb開発で使用される OSを選ばずに開発できる汎用性の高さが人気 |
4位 | PHP | Web開発で使用されるサーバーサイド言語 使用できるエンジニアが多いので年収は比較的低め 需要が安定している |
5位 | CSS | ウェブページのスタイルを指定するための言語 HTMLで作られた文書構造にデザインを加えて見栄えを整える役割 |
5位 | C# | 業務システムやゲーム開発で使用される 複雑な処理を得意とする |
7位 | C++ | 業務システムやゲーム開発によく利用される 処理が早く複雑な処理に向いている |
8位 | TypeScript | Java Scriptの上位互換 エラーを防止できる |
9位 | Ruby | 日本の国産言語、Webアプリケーション開発が得意 文法がシンプル |
10位 | C | 業務システムやIoT開発で使用される 高速処理が可能 |
11位 | Swift | iOSやMacOSを使う開発で使用される 新しい言語で求人数が少なめ 求人によっては年収が高額 |
12位 | R | 統計やデータ解析に特化している 文法がシンプル |
13位 | Objective-C | iOSアプリ開発で使用される C言語がベースで作られた言語 現在はSwiftでの開発に置き換わってきている |
14位 | Shell | LinucやUNIXと対話するための言語 |
15位 | Scala | Javaとの互換性が高い 習得難易度が高い SNSの開発に使用される |
16位 | Go | 文法がシンプル C言語に構造が似ている スマホアプリやIoT機器の開発に使用される |
17位 | PowerShell | OSを問わず動作するシェル 自動化ができる |
18位 | Kotlin | Javaとの相互運用性が高い Androidアプリ開発の公式言語 |
19位 | Rust | 処理速度が高速 クラウドストレージサービスやメッセージアプリ開発で使用 |
19位 | Dart | Webブラウザ組み込み用のスクリプト言語 強固なセキュリティ |
いくつかの例外を除いて、近年はランキングの変動があまりありません。
この中でも2021年第4四半期と比べて大きく順位が変わっている言語は、Java、C++、Dartです。
参考:RedMonk 2022年第一四半期のプログラミング言語ランキング
JavaScript
近年では、JavaScriptのフレームワークが人気を博し、React・Angular・Vueなどを活用したフロントエンドの開発が主流になりつつあります。
フロントエンドエンジニアとしては必須の言語となっており、長く人気がある言語となっています。
JavaとPython
Javaはこれまで一時期Pythonと同率の2位となっていましたが、3位に後退しています。3位は決して悪い順位ではありません。
かつてはケーブルテレビのために作られた言語が、新しく生まれた言語を押しのけてこの順位帯を守り続けています。
日本ではJavaが業務系のシステムなどを中心に利用率が高く、習得難易度は高いものの、現在もニーズが高い言語となっています。
Pythonは、2年続けてランキング2位を保持しています。AIに関連したシステム開発で利用されることも多く、習得難易度が低めということからも需要が安定しています。
PHP
PHPは、2017年の第一四半期に4位となってから、ずっとこの順位を維持しています。この背景には、世界中のWebサイトの大部分を支え続けていることがあるからでしょう。
しかし、PHPから多言語へのリプレイスが進んでおり、将来的にはエンジニアが減少していくものと思われます。
C++
C++は、2021年第四四半期には、C#、CSSと同率でしたが、今回は2つ順位が下がっています。一時的な後退かもしれませんが、C言語と同じ傾向があるかもしれません。
Type Script
TypeScriptは、マイクロソフトが開発したJavaScriptを進化させたプログラミング言語です。大人数での開発でもエラーを防ぐように設計されているという特徴があり、JavaScriptの持つ問題点を解消しています。
C++に次いで8位の結果となっています。Swiftが登場して以来の急成長を見せてきた言語ではありますが、これからも上昇の余地があるのか、これ以上の成長は見られないのかは分かりません。
言語別平均年収ランキング
パーソルキャリアが発表した日本における言語別の平均年収ランキングは以下の通りです。
順位 | プログラミング言語 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | ABAP | 661万円 |
2位 | R | 656万円 |
3位 | Perl | 630万円 |
4位 | VC・VC++ | 630万円 |
5位 | Delphi | 629万円 |
6位 | ASP | 628万円 |
7位 | Go | 627万円 |
8位 | PL/1 | 618万円 |
9位 | Cocos 2d-x | 607万円 |
10位 | C++ | 605万円 |
11位 | C | 601万円 |
12位 | Action Script | 598万円 |
人気言語ランキングでトップだったPython、Java、JavaScriptは、平均年収ランキングで590万円の16位、573万円の18位、561万円の31位という結果になっています。
ABAPが1位となったのは、2025年に向けてSAPの新規導入やS4/HANAへのリプレイス案件が盛んになってきており、需要が急上昇しているのです。
年収別でみると、エンジニア数が多い言語ほど平均年収は下降傾向にあり、逆に現在希少性の高いエンジニアほど獲得が困難なことから平均年収が上昇しているものと見られます。
言語別求人数ランキング
2022年3月時点の、言語別求人数ランキングを紹介します。
順位 | プログラミング言語 | 求人数 |
---|---|---|
1位 | Java | 44,425件 |
2位 | PHP | 25,272件 |
3位 | JavaScript | 18,274件 |
4位 | Python | 8,676件 |
5位 | C# | 8,671件 |
人気言語ランキングでも比較的上位にランキングしている、Java、PHP、JavaScriptなどの求人数がトップを占めています。
近年ではAI分野が飛躍的に注目されていることや、その汎用性から人気が加熱しているPythonとゲーム開発でよく使用されているC#がランクインしています。
求人数を見ると、JavaとPHPが圧倒的に件数が多いのが分かります。求人数が多いということは、それだけ企業からのニーズが高い言語であることの証明といえるでしょう。
これから学ぶならおすすめの言語
以上のランキングを踏まえて、これから学習するのにおすすめの言語について解説します。
Python
Pythonは、今注目を集めている人気言語です。シンプルながら汎用性が高い言語で、多くのエンジニアに支持されています。
同じ処理でもJavaは9行記述する必要がある処理でも、Pythonでは1行で済むこともあります。
文法がシンプルでコードが短いということで以下のようなメリットがあります。
- プログラムの可読性が高くなる
- 後から修正しやすい
- エラー箇所がわかりやすい
- コードを書く時間が短くなる
Java
JavaはC言語をベースに開発されたプログラミング言語で、IT市場を牽引するGoogleが開発に使用する三大言語の一つです。
Java仮想マシンは、サーバーから家電、デスクトップパソコンなどの幅広いプラットフォームで使用されています。
Javaのメリットは、実行環境の自由度の高さにあります。一度書いたコードはJava仮想マシンを通してどんなコンピューターでも使用できます。その汎用性の高さから、求人数のランキングも1位です。
Javascript
JavaScriptとは、Webサイトやシステムの開発に使用されている言語です。JavaScriptは、ブラウザを動かすためのプログラム言語で、ポップアップ画面やカルーセルのようにアニメーションが動いているものを実装します。
最大の特徴は、高い汎用性です。リアルタイムで動作可能なチャットや為替のチャート、スマホアプリやゲームも作ることができます。
PHP
PHPは、動的にWebページを生成することができるサーバーサイドのスクリプト言語です。他のプログラミング言語と比較して、使用や文法が簡単なため、習得がしやすいと言われています。データベースとの連携も容易なことあから、Word PressなどのWebアプリケーションの開発にもよく使用される言語です。
GO
Goは、Googleが開発したプログラミング言語です。シンプルかつ高速な処理が可能なプログラミング言語で、Webサービスの開発やサーバーの構築などにも用いられています。YouTubeやメルカリ、ぐるなびなどの開発言語がGoです。
Goは文法がシンプルで誰が見てもわかるプログラムを書きやすいという特徴があるので、複数人のエンジニアで並行してコーディングができやすく大規模なサービスの開発に最適です。
まとめ
ランキングは毎年大きく変化していますが、この数年人気ランキングにはPythonが上位に入っています。
背景には、AIに関連する開発が増加していること、習得のしやすさなどに起因しているのですが、市場の需要や年収からみても上位に入ってきます。
日本のIT業界は世界と比較すると相違点も多いので、世界的なランキングとの相違点には注意が必要です。
日本市場でのランキングを基本としつつ、世界でのラインキングの動向を見据えておくと良いでしょう。
Python、Java、Javascriptについては、順位の変動がありつつも常にランキング上位に位置しています。
これからプログラマーを目指している人は将来性を見据えてどの言語を選択するべきかを検討しましょう。
いくら年収が上位の言語だからといって、簡単に手を出すことはおすすめしません。
学習コストが低い言語などの習得を目指すことによって、はやくスタートを切れるようにもなります。
初心者であればできる限り早くITエンジニアとしてスタートラインを切れるような方法を選択することも1つの手です。
総合的に考え、需要が高く、学習コストが低く、将来性もあるといった言語を選択するといいでしょう。