未経験からプログラマーへと転職を叶え、活躍していきたいと考える方は多いでしょう。
プログラミング未経験の方や文系出身の方がプログラマーとして活躍されている事例も多く耳にするようになりました。
また、異業種からプログラミングを習得し、未経験OKの企業に転職することができたという方も以前より増えているのも事実です。
その背景については後述しますが、実際に未経験OKとしている求人は、以前と比較ならないほど増えていることは求人サイトをご利用されている人なら実感されいるのではないでしょうか。
とはいえ、プログラマーとして就職はできたものの、わからないことだらけで悩みを抱えて、プログラマーを辞めようと考える方もいらっしゃるのもまた事実です。
ここではこの悩みを解決するための対策を、実際に未経験からプログラマーとなって1年以内に抱えることが多い悩みはどのようなものがあるのかとあわせて解説してまいります。
本記事では同じ境遇で悩む方が多くいるという事実を踏まえ、一人ではないことに気付いていただき、今後のキャリアパスを良い方向に思い描く方向に進んでいただけるような内容で進めてまいりますので是非お目通しください。
Contents
未経験からプログラマーになる方が増加した背景
未経験からプログラマーに就職・転職する方が増加している背景には、ここ数年続いている深刻なIT業界の人手不足が影響しています。
経産省のレポートをみても、2030年までにIT人材は最大79万人も不足すると警鐘がならされているのが事実。
実際に多くのIT企業、特に中小企業は経験者の中途採用から、未経験者の採用にスイッチしているケースが多く見受けられます。
2018年頃にはこうしたIT業界の状況と、コロナ禍でキャリアチェンジを考える求職者のマーケットを勝機と感じた、プログラミングスクールやプログラミング教材ビジネスで以下のような派手なキャッチコピーが乱立していました。
「未経験から1年でフリーランスになれる」「プログラマーになって年収1000万」こうしたキャッチコピーで多くの生徒を獲得するに至った事実もあります。
前代未聞とも言えるコロナ禍の混沌とした状況の中、こうした甘い言葉でプログラマーとなったものの、実業務が思うように進められず、入社後に「こんなはずではなかった」と悩まれる方がも急増しているのです。
未経験からプログラマーになった方が辞めたいと考える理由
未経験からプログラマーとして転職したものの、辞めようかと思い悩むに至る事情を調査すると、以下のようなものが挙げられていました。
仕事が思っているように進まず残業が多い
スクールや独学でプログラミングを習得して転職を叶えたものの、思うように業務をこなせず悩む方は多くいらっしゃいます。
これには、「プログラマーとしての業務は、机上のスキル習得だけで実業務をこなすのは難しい」という業界ならではの事情が関係していることをご理解ください。
そしてこれは、みなさんの習得したものに不足があるからではなく、専門学校や大学で勉強を重ねても同じ状況からスタートした方々が今活躍しているのだということもあわせて知っておいていただきたいのです。
IT業界に入った殆どの方が通る道で、ここを通過せずにすむのは「自力でアプリ開発やシステム開発を自分でやってきた」という一握りの人材のみなのです。
そのため思うように業務が進まず、残業時間が多くなってしまいがちであり、ある程度実務経験を積むことで確実に解消できる問題です。
思っていたよりも給与が低い
IT業界は年収が高いと思って転職される方も多いでしょう。
「年収1000万円のエンジニアになる」といったキャッチコピーが多いのもこの原因となっていると推測できます。
実際IT業界の平均年収は世間一般よりも高いのは事実ですが、年収1000万円を超えるエンジニアの数はある程度限られているのは事実。
とはいえ、大手企業で役職についていたり、プロジェクトマネージャーやそれ以上の専門職となっているエンジニアを見てみると年収800万円以上(世間一般の約2倍の金額)となっているケースは多くあります。
年収500万円を超えるのには、実務経験3年以上からとなるケースが多いため、実務経験がない未経験エンジニアの初年度の平均年収は300~350万円(リクルートエージェント調べ)であるケースも多いことは知っておくと良いでしょう。
仕事内容が思っているのと違った
プログラマーという業種は黙々とソースコードをパソコンに打ち込んでいるイメージが強く持たれています。
実際の業務ではソースコードを打ち込むだけでなく、仕様書を読み込み、プログラムを作成したらテストケースを考えテスト実施、適宜打合せやメンバーとのやり取りも多くあります。
プログラムを作成する時間よりも、テストをしている時間のほうが長く、場合によっては打合せが多いとその時間のほうが多く感じることもあるでしょう。
大きなシステムに関わると小さなチームではなく、100人以上のメンバーで1つのシステムに関わっていることも多く、コミュニケーションが重要になるシーンも多くあるのです。
求められているスキルに追いつけない
中には未経験OKとしながらも、経験が無ければできないような業務に回ってしまうケースもあるようです。
これは就職する企業のやり方によるところも大きく、役不足であることを痛感するような場合には上長に相談するのも良いでしょう。
未経験でスタートしている以上、現場で求められるものが高すぎる場合、周りの方々に質問しながらスキル向上を図ることも欠かせません。
チームや部署に馴染めない
なじめない理由が人的要因に限られる、という場合にはIT業界のみならず他でもこうした事実はあることと割り切って考えることも大切です。
中には「未経験だから自分がダメなんだ」と必要以上に思い悩んでしまう方もいらっしゃいますが、スキルがあっても現場によってはそのようなことはままあること。
まずはここで自分のスキルを向上させるために必要なことを吸収するのだ、と注力するのも一手です。
仮にハラスメントに値するような事象になっているという場合には、上長や人事に相談するのもありです。
参加しているプロジェクトに興味がもてない
業務をこなすことがプログラマとしての仕事ですから、必ずしも興味を持って邁進できるプロジェクトにあたる保証はありません。
とはいえ、その現場で得られるスキルや経験は必ずあります。
経験を積んで別の現場に移動できるように、将来を見据えて行動することも大切です。
実務に携わると覚える事が多すぎる
実際大学や専門学校で勉強して就職した場合でも、この悩みを抱えたことのないエンジニアはいないでしょう。
ソースコードを書くだけが仕事ではなく、テストケースを考えたり、それに必要なテストデータを用意することも、実際にテストを実行するためにも様々な知識や技術が必要です。
とはいえ、これはどこの現場でも同じ事。業務の流れになれること、必要な準備をして業務を遂行することには必ず慣れることもできます。
覚えることが多いと悩むのは最初の数か月だ、という認識を持っておくと良いのではないでしょうか。
辞めたいと悩んでいるときの対処方法
未経験からスタートしている以上、「できない事・わからないことはあって当たり前」です。
それでも「辞めたい」と悩んでいらっしゃる方に知っておいて頂きたい、対処法についてまとめます。
- 先輩・上司に相談する
- 現状に必要なことを勉強し直す
- プログラミング以外に必要な知識を勉強する
- 参加しているプロジェクトの全体像を把握してみる(興味を持てるように)
- 仕事やプログラムから距離をとる時間を持つ
- 転職(IT企業、異業種)
まずは同じ悩みを抱えていた時期が必ずある、上司や先輩、同期のメンバーに相談してみてください。
そうすることで、今の自分の状況に必要以上に不安を抱えていれば軽くすることもできるでしょう。
またその中で「今の自分に足りないものは何か」を把握するきっかけになるアドバイスも受けられるかもしれません。
プログラムを組むためのソースコードは独学でも習得できますが、多くの方が悩むのはプロジェクトに参画し実業をこなす上でのスキル不足。
何がわからないのかもわからない、そんな状況を打破するための突破口を探すことも大切です。
またプロジェクトがどういった目的のもので、どういう流れで動くのかを把握することで全体像を完璧ではなくてもつかむことはできます。
そうすることで自分のやるべき業務の位置づけや、存在意義を把握して業務への理解が深まることもあるのです。
こういった事とは別に、思い悩むだけでなくリフレッシュタイムを持つことも大切です。
その中で、どうしても考え方についていけない、これ以上は頑張れないという結論になるのであれば、転職を視野に入れることも良いのではないでしょうか。
転職の際には、「今の会社ではメンバーとのコミュニケーションがとれないことが原因になっている」のあれば、別の社風のあうIT企業への転職で悩みを解決できる場合もあります。
退職を決める前に知っておいてほしいこと
せっかくプログラマーとして転職されたのですから、「もう辞める!」と決めてしまう前に考えていただきたいポイントについてまとめました。
IT業界で未経験転職者の初年度平均年収は、リクルートエージェント調べで300~350万円とお伝えしたように、一般的な初年度の平均年収である200~250万円の相場よりも高くなります。
これには求められるものの重さや、未経験エンジニアの誰もが抱えるスキル不足に起因する悩み等も含まれていると考えて乗り切る事も一手です。
また未経験だからこそのスキル不足は当たり前であり、経験3年以上のプログラマの転職求人を見てみると年収400万円を超えるケースも多いように、「未経験から経験3年はできないことが多くて当たり前」という期間と認識されているのだと考えることもできます。
未経験で悩みも尽きない苦しい時期ではありますが、そこを乗り越えればIT人材は不足しており売り手市場であるのも事実。
長く活躍できる可能性が高いことも、辞めてしまう前に一考いただきたいポイントです。
また他業種よりもテレワークの浸透率も高いのも特長で、多様な働き方が認められようとしている業界でもあり、今後のライフスタイルを考えるうえでもメリットとなる点がないかも含めて考えてみるのもおすすめです。
未経験エンジニアを乗り越えることで得られるメリットもある
未経験からプログラマとして転職し、ある程度の業務をこなせるようになった、と実感するまでの期間は長くて1年ほどです。
この時期をクリアしてしまえば、「実務経験1年」という肩書をもって、より働きやすいIT企業への転職もしやすくなります。
実務経験が1年でもあれば、未経験者よりも転職の幅は広がり、身につけたスキルは他業種でも役に立ちます。
実際この苦しい期間を乗り越えればどのようなメリットがあるか、ピックアップしましたのでご覧ください。
- より需要の高いキャリアを選択できる
- IT知識は異業種でも役に立つ
- 経験を積めばコーディング以外の仕事もできる
- 3年〜5年経験を積めば独立することも可能
- 年収1,000万のエンジニアも目指せる
中にはプログラミングだけでなく、この期間を経てより上のポジションで仕事をしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
システムエンジニア(SE)となれば、要件からプログラムの設計を起こす業務にもつけますし、更に上級職を目指すこともできます。
また雇われではなく雇う側として企業したり、フリーランスとして活躍することも可能です。
それでも辞めたい場合は辞めてしまうのもアリ
こちらでお伝えしたお話を経て、なお辞めたいと思われる場合には辞めるのももちろんアリです。
中には「まったく思っていたような職種ではなかった」という方もいらっしゃいますし、本当に適性がない、性に合わないという方もいらっしゃるはずです。
ただし、そうではなく、就職した企業がご自身とあっていなかったというケースもありますから、その点に関しては一考されることをおすすめします。
まとめ
ここまで未経験からプログラマーに就職・転職した人で悩まれる方が多いケースについて解説してきました。
「同じことで悩んでいる人はいるんだ!」と共感いただけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
やっと、苦労してプログラミング言語を習得できたと思ったら、実務ではもっと別のスキル・技術が求められるのかと苦しんでいらっしゃる方は多いのです。
私自身は、実践的な技術を学べるというIT系専門学校で3年間、プログラミングを学びました。学校のテストの成績も常に上位で、少し調子に乗っていたと実感したこともあります。
卒業して独立系SIerに就職したものの、実務についた際に学校で学んだことが役に立たず愕然となり、学校で学んだことは知識として得られただけで実践では役に立たないんだということを痛感しました。
IT系専門学校で3年勉強しても多くのことに悩むのですから、未経験からプログラマーになった皆さんも多くの悩みを抱えていらっしゃることはた当然のことだともいえるでしょう。
しかし今は、私が就職した時代は違い、未経験者の就職・転職をサポートする研修制度や教育カリキュラムが整ってきており、未経験者でも働きやすい環境になってきていることは間違いありません。
とはいえ、プログラマーという職種は必ず誰でもなれる仕事ではありません。
プログラミング言語やSQLなど技術は常に刷新され、トレンドも大きく変わりますので、常に求められるエンジニアでいる為には常に新しいものも習得する貪欲さも求められます。
そういった意味ではプログラミング(コードを書く)ということを好きになれる人ではないと難しいでしょう。
プログラマーとして向いているかどうかを判断するなら、未経験から1年くらいは実務に携わってみてから考えてみて頂きたいとお伝えしておきます。
これからの日本社会の発展にIT人材は欠かせません。
諸外国よりもデジタル化が遅れていると言われている昨今、未経験からプログラマーになろうとする人が増えることは喜ばしいことです。
今を乗り切って、プログラマーといえる日をむかえられることを願っています。
きっとプログラマーとして実務をこなせるようになれば、今と見える景色が違って見えることでしょう。