ITエンジニアとしてキャリアアップのために資格取得を検討している方も少なくないと思います。特に経験を積んで来た人であればチャレンジするか考えたことがある応用情報技術者試験かと思います。応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位資格であり、難易度も高くなっています。
経済産業省では、この試験の目的を下記のように記載しています。
「産業の情報化」、「社会の情報化」、「生活の情報化」が進展し、全体として1つのネットワークとして結びつけられた高度情報化社会の中核的役割を果たすべき情報処理技術者の育成・確保の観点から、次の3点を目的として情報処理技術者試験を実施しています。
- 情報処理技術者に目標を示し、刺激を与えることによって、その技術の向上に資すること。
- 情報処理技術者として備えるべき能力についての水準を示すことにより、学校教育、職業教育、企業内教育等における教育の水準の確保に資すること。
- 情報技術を利用する企業、官庁などが情報処理技術者の採用を行う際に役立つよう客観的な評価の尺度を提供し、これを通じて情報処理技術者の社会的地位の確立を図ること。
このことからも、ITエンジニアとしてワンランク上を目指すのであれば、取得しておきたい資格と思います。そこで本記事では、応用情報技術者試験とはそもそも何か、どれくらい勉強時間が必要なのか、取得するメリットなどを詳しく解説いたします。是非参考にしてください。
Contents
応用情報技術者試験とは?
まず応用情報技術者試験の概要に関してご紹介します。応用情報技術者試験は、国家試験である情報処理技術者試験の一つです。応用情報技術者試験は、情報処理試験の中で、基本情報技術試験の上位に設定されており、応用的なIT感レの知識や技能の証明となります。
情報処理技術者試験には、他に基本的なIT利活用向けの情報セキュリティマネジメント試験、ITパスポートや、高度な専門的知識に関するITストラテジスト試験・プロジェクトマネージャー試験などがあります。
対象者は、高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者と規定されていますが、誰でも受験することが出来ます。
試験内容
続いて、具体的な試験内容をご紹介します。
・試験日程:4月/10月(年二回の実施)
・試験場所:全国63ヶ所から選択可能
・試験料:5,700円
・試験内容:
試験は午前・午後の部にわかれており、午前は4択問題、午後は記述問題となっています。午前中は、3つのテクノロジ系/マネジメント系/ストラテジ系の範囲から80問が出題されます。
一方、午後は下記の範囲の中での11問から5問を選択肢回答する記述問題になっています。その中で1問は情報セキュリティの問題は絶対選択する必要があります。
-経営戦略に関すること
-情報戦略に関すること
-戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
-システムアーキテクチャに関すること
-ITサービスマネジメントに関すること
-プロジェクトマネジメントに関すること
-ネットワークに関すること
-データベースに関すること
-組込みシステム開発に関すること
-情報システム開発に関すること
-プログラミングに関すること
-情報セキュリティに関すること
-システム監査に関すること
・合格点:午前・午後ともに100点満点で採点され、どちらも60点を取得する必要があります。そのため、午前だけを集中して勉強するということなどは出来ないため、まんべんなく勉強することが必要です。
・合格率:20%前後です。
応用情報技術者試験の難易度は
応用技術者試験は、一定の経験があるエンジニアを対象とした上で合格率が20%程度となるため、難易度が高いと考えられます。情報処理技術者試験の中でもレベル3に設定されており、基本情報技術者試験のレベル2と比べても高い設定がされています。
特に難易度が高いと言われる要因が、出題範囲と記述式の試験があることです。上記でもご紹介したように試験範囲はIT系(プログラミング・アルゴリズムなど)の知識・技能だけでなく、経営戦略などのマネジメント関連の知識やプロジェクトマネジメント関連に関する知識も求められます。そのため幅広い分野での知識が求められます。
また、午後の試験はご紹介したように記述式です。選択式の場合はなんとなくわかっていれば回答可能な場合もあります。しかし、記述式の場合はより深い理解が求められます。
勉強時間の目安とは
それではどの程度の勉強時間が必要なのでしょうか。勉強時間は経験や所有有無でも大きく異なります。応用情報技術者試験に合格するには初学者の場合では、500時間以上の勉強が必要といわれており、1日2時間程度の勉強でも7ヶ月以上です。
もし、基本情報技術者資格をすでに取得している場合は200時間程度と言われており、毎日2時間の勉強で3ヶ月程度といわれています。ご紹介した勉強時間はあくまでも目安ですが、難易度が高い資格のため多くの勉強時間が必要ということだけ認識しておきましょう。
効率的な勉強法とは
それでは具体的な勉強法をご紹介します。おすすめの勉強はシンプルにインプットとアウトプットを繰り返すことで知識を定着させることが重要です。インプットではテキストを何回も読み続けるながら知識を定着させることを目指しましょう。ある程度インプットが出来たら、過去問を解き、アウトプットを行います。過去問を解きながら自分の苦手分野などを割り出し、またテキストをチェックするなどを繰り返すことがおすすめです。特に午後の記述問題は過去問を解き、実際に書いてみることにより所要時間などの把握も可能です。
また、午後の記述問題ではご紹介したように4つの問題を選択することとなります。そのためどの範囲を選択するのかを事前に検討して学習することも有効です。その中でもセキュリティに関する問題は必須回答となるため、セキュリティに関する学習は欠かさずに行いましょう。
もし、独学での勉強が続かない場合は、オンライン講座を受けることで勉強時間の管理ができたり、わからないところをすぐに聞ける可能性もあるため、受講の検討もおすすめです。
ITエンジニア未経験でも合格は可能なのか?
それでは、ITエンジニア未経験でも合格が可能なのでしょうか。ご紹介したように試験受験対象に制限はなく誰でも受験できるため、合格できる可能性があります。しかし、かなり勉強時間が必要であり、深い理解も必要となるためかなり難易度が高いことを理解しておきましょう。
取得するメリットは
それでは具体的に応募情報技術者試験を取得するメリットは何でしょうか。
高度試験の一部免除
応用情報技術者試験の後に、また新たな資格を検討する場合があると思います。応用情報技術者の資格を取得することでITストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験などのスペシャリスト試験の午前試験の一部が免除になります。また、それ以外に中小企業診断士試験や弁理士試験の一部も免除紳士することができます。応用情報技術者試験をきっかけに新たな資格取得も検討出来ます。
資格手当の受給
応用情報技術者試験は企業においても高い評価を受けている資格です。そのため、会社や組織によっては資格を取得することで特別な手当てを支給している可能性があります。支給額や方法などは企業により異なりますのでそれぞれの就業規則等を確認してみましょう。
就職・転職の役に立つのか
最後に具体的に就職や転職に役に立つのかご紹介します。
ご紹介したように応用情報技術者試験は企業において高い評価をうけており、就職や転職の際に大きく勇気に働く可能性があります。また、応用情報技術者試験は企業だけでなく、省庁や官公庁などの公務員の職種でも高い評価を受けています。今後どの行でもIT人材が求められている中でキャリアを広げるためにも有利に働く可能性が高いです。
ただし、ITエンジニアの転職の場合、資格よりも経験やスキルを優先される傾向があります。勉強することで培ってきた知識よりも、実務で経験を積むことのほうが重要だと考えられているからです。
よく学校で学んだことは現場ではあまり役に立たないという話を耳にします。
システム開発スキルというのは、実際の業務でトライアンドエラーで覚えていくのが一番効率的なのです。
とはいっても、応用情報技術者試験の難易度については企業側も把握しているので、転職活動をする上で有利に働く材料であることは間違い無いと言っていいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ITエンジニアとしてキャリアを積んだ方から見ても難易度の高い国家試験である応用情報技術者試験は取得すると就職や転職が有利になるだけでなく、上位資格である国家試験の一部免除を受けられるなどメリットがたくさんある資格です。
また、合格するためには多くの勉強時間を必要としますが、勉強した時間に比例して貴方のスキルアップにもなります。
ワンランク上のエンジニアを目指すならぜひチャレンジしてみてください。
また、試験に合格し転職をしようと考えているのであれば、IT業界専門の転職サイトをご利用されることをおすすめいたします。
苦労して取得した応用情報技術者試験、その価値を理解できるのは大手総合転職サイトではなく、IT業界特有の資格などをスキルシートに入力できる専門転職サイトのほうが、ミスマッチが起こりにくいです。
また、資格手当などの記載もありますので、貴方のキャリア、資格などを最大限に活かし希望の転職先をみつけてみてはいかがでしょうか。